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2014.01.11

「明治骨董奇譚 ゆめじい」第2巻 ちょいワルでちょっとイイ話から…

 明治の京都を舞台に、骨董品店の老店主、人呼んで「ゆめじい」が出会う不思議な事件の数々を描く「明治骨董奇譚 ゆめじい」の第2巻が昨年末発売されました。第1巻から相当時間が空いた感がありますが、待望の続巻です。

 本作の主人公・ゆめじいは、骨董品にかけては京都一と言われる目利きであり、警察もやくざも一目置く人物であります。そんな彼の評判を支えるのは、彼の持つ不思議な力――物に宿った念を感じる力。彼の店に持ち込まれた曰く因縁のある品物を巡り、ゆめじいは不思議な事件の数々に出くわすこととなります。

 そんなわけで今回も次々と事件に巻き込まれるゆめじい、中国人街で次々と娘が惨殺される事件や、政府の高官を狙った狙撃事件など、一見骨董品と関連のなさそうな事件が登場するのですが、しかしこれらに共通するのは、いずれも誰かの強い念が籠もった品物が、事件の中心に存在すること。
 かくてゆめじいはその能力を活かして、事件の陰に存在する人の想いを読み解くことによって謎を解いていくことになるのであります。

 …と――超自然要素のあるなしはともかく――こうした人の心の籠もった品を巡る(広義の)謎解きというのは、いわゆる骨董品もの、職人ものの定番パターンではあります。
 そんな中で本作が独自性を持つのは、「イイ話」を描きつつも、その品物の謎を解くゆめじいが、まごうことなき「悪党」である点でしょう。
 骨董屋は慈善事業じゃないと言わんばかりに、隙あれば金や品物をいただき、あるいは(ある程度同情すべき事情はあるにせよ)事件の犯人を見逃してそのあがりをかすめ取る…そんなゆめじいのダーティーな生臭さと、作者の絵柄や物語そのものから感じられる暖かみがいい意味で打ち消しあっているのがなかなか楽しいのであります。


 さて、そんなゆめじいの稼業も、この巻の後半では少々様相を変えていくこととなります。

 後半で描かれるのは、裕福で社会的地位のある華族でありながら、陰惨な殺人も辞さない青年、そして彼に利用される強力な霊能少年が登場、ゆめじいと対等以上の力を以て挑んでくるという展開。
 そしてその対決は、前の巻で登場したある女性の運命も絡んでスケールアップしていくこととなります。
(この巻の冒頭のエピソードは、最初に読んだときは何故前の巻に入れなかったのか不思議に思いましたが、後半まで読んで構成に納得)

 この辺り、ある意味無敵の第三者であったゆめじいが挑戦を受け、苦戦するという点でなかなか面白いのですが、ゆめじいのちょいワルでちょっとイイ話を楽しんでいた身からすると、いささか戸惑ってしまったのは事実。
 特にこの巻のラストのエピソードは、本作としては異例のスケールの大きさで、実のところ違和感の方が大きかったのですが…


 どうやらこの路線はまだこの先も続く様子ですが、果たしてこの先物語がどこに向かい、どこに落ち着くのか…不安と期待が入り交じっているというのが、今の正直な気持ちであります。


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