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2014.02.27

「水滸伝」第21話「智をもって二竜山を奪う」

 さて、宋江と閻婆惜の物語は悲劇のうちに終わり、いよいよ始まった宋江の受難。その一方で、久々に登場する面々による活劇が展開されることになります。

 前回のラストで閻婆惜を半ば過失で刺し殺してその場を飛び出した宋江。その時の騒動で燭台が倒れ、炎に包まれる屋敷の中で右往左往する閻婆…というところで終わったので安否が気遣われた婆ですが、無事に生き延び、ご丁寧に「宋江」と名前の入った短刀を証拠に、衙門に訴え出ます。さらに婆の口から閻婆惜と張文遠の関係まで出ては知県も庇えず、やむなく朱仝と雷横に宋江捕縛を命じます(ちなみに原典では悪びれもせず宋江を糾弾した張文遠、こちらでは気弱さ全開でビクビクしっぱなし)。

 その宋江はと言えば、実家に顔を出しておりました(ここで初登場の宋清は、何というかあまり印象に残らないビジュアル。正しい描写と言うべきでしょうか)。
 これは高飛びの前に一目肉親に暇乞いをということか…と思いきや、暇乞いはその通りですが、しかし逃げるつもりは彼にはなく、あくまでも自首の前に一目父に顔を見せようと思っての行動。罪なき人を殺してしまったと告白したのには、閻婆惜も少し救われた印象ですが…

 そこにやってきた朱仝と雷横は、本人が目の前にいるにも関わらず、思いっきりすっとぼけて別の場所を探すという猿芝居をみせますが、既に覚悟を決めた宋江の冷静なツッコミを受け、やむなく彼を連行するのでありました。
 ちなみに原典では本当に逃げも隠れもしていた宋江、実家の床下に隠れ、朱仝と雷横に見逃されて逃走するのですが――正直に言って登場間もないのにセコい言動の連発で、大いにイメージダウンしていたもの。このドラマ版の振る舞いは、納得のアレンジです。

 さて、色々と手心が加えられたか、流刑で済むこととなった宋江は、棒打ちの刑を受けた上で旅立つのでありました。


と、ここで舞台は変わり、本当に久々に魯智深登場。以前にも登場した、林冲に恩義のある滄州の酒場に偶然顔を出した魯智深、林冲の義父からの手紙を持っていたようですが、主人から林冲が山賊になったと聞きます。
 ここで何やらやる気になった魯智深ですが…

 と、再び場面は変わり、今度は青面獣楊志が登場。晁蓋らに生辰綱を奪われ、公孫勝の諭しで生きることにした彼は逃亡中の身ですが――腹が減ってダウン寸前。そんなところでたどり着いた酒場で、モリモリと、しかしちょっとビクビクしながら食事を取った彼は食い逃げを敢行するのですが…
 その前に立ちふさがったのは、ククリ(グルカ刀)のような得物を持った小肥りの男。楊志とそれなりにいい勝負を演じた彼は、何か感じるところがあったか、楊志に名を訪ねます。

 ここで「逃げも隠れもせぬ」と名乗る楊志――思い切り逃げようとしていたのに――は、男から礼を返されて超とまどうのですが、この辺り、彼の存外な人の良さが楽しい…というのはさておき、男は林冲の弟子の曹正と名乗ります。早速意気投合した楊志に、最近山賊の根城となった二竜山取りを曹正が勧めているところに、今度は魯智深が登場します。

 胡乱な坊主と追い払おうとする曹正に代わり魯智深と対峙した楊志。ここで実に久々に、達人同士の派手なバトルが展開されることになります。武侠ドラマ名物、あばら屋を破壊しながらのバトルの末、潔く負けを認めたのは魯智深の方でありました。
 お互いに名乗りあって意気投合という、実に水滸伝らしい展開となった二人ですが、魯智深は林冲を助けて高キュウに睨まれ、東京から逃げる羽目になったとのこと。

 器の小さい王倫の下につくのはつまらない、ここは俺とお前で二竜山を奪い、林冲を呼び寄せようぜ、という原典と微妙に違う成り行きになりましたが、曹正の策で二竜山取りを狙うのは原典どおり。
 厳重に閉められた門を、魯智深を捕らえたと偽って開けさせ、後は主のトウ竜の前で三人揃っての大暴れ――まったく、相手の方がかわいそうになる乱闘の末、見事に山を奪った魯智深と楊志が旗揚げをする姿に、「天命の誓い」で本拠を構えた時の気分を思い出しつつ、次回に続きます。


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