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2014.02.12

「真・餓狼伝」第4巻 拳と剣、時代を超えるための死合

 明治の格闘界を舞台に、若き格闘家たちの激突を描く「真・餓狼伝」の第4巻は、長い長い過去編の途中。同じ丹水流の中で、拳と剣の激突が、ついに始まることとなります。

 講道館の猛者を次々と襲撃、倒してきた青年・丹波文吉。前の巻から始まった、彼の少年時代を描く展開では、父とともに技を磨く彼の姿が描かれますが――そこで彼の前に、丹水流の同門にして、丹水流の剣を修めた少年・黒岡京太郎が現れます。

 彼の父は幕末にその剣の腕を知られた凄腕の剣士ながら幕末から明治にかけた胴乱の中で既にこの世になく、また廃刀令によって刀を帯びることを禁じられ、時代に置き去りにされたやに感じていた京太郎。
 自暴自棄になった彼は、警察官の乗馬を斬り捨てるという暴挙にでるのですが…

 しかし、そんな彼の姿に歯がゆさを感じたのが、幼なじみである文吉。彼はこともあろうに京太郎の佩刀――彼の父が帯び、唯一枯れに遺した――を道場の皆の前でへし折り、自分と戦えと挑発、かくて文吉と喬太郎、拳と剣の異種格闘技戦が勃発するに至ります。

 が――いくらなんでもこれは無茶というもの。試合は木刀で行われることとなったものの、一撃を喰らえば命も危ない。いやそれ以前に、単純に拳と剣ではリーチが違いすぎる。仮に腕前が同じだとしても、リーチが長い方が有利なのは自明の利。
 もちろん、時代格闘ものでは、それでも無手の側が勝つのが定番ではありますが、しかしそれは実力に大きな差がある時にのみ可能なことなのだなあ…と、今更ながらに再確認させられるような展開であります。


 しかしそんな状況下においてもあえて文吉が京太郎との「死合」に挑む理由が、なかなかに本作らしくてよろしい。
 自分の不遇を「時代」のせいにして荒れる京太郎。それはある意味やむを得ない態度であり、同情できるものではあるのですが――しかし文吉はあえてそれを否定し、ただ単純に「強えー奴」との闘いに、彼を引っ張り出すのであります。

 そしてそれは実は、「時代」に対して、それと闘うのではなく、それを乗り越えさせることを意図したものであり…そして京太郎の姿が、おそらくは幕末を生き延び、明治を迎えてしまった武士たちの多くの象徴であることを思えば、また本作の目指すところも見えるように感じるのであります。

 とはいえ、京太郎の剣に、ダメージをものともせず真っ正面から突っ込んでいくばかりの文吉の戦法が単調に見えてしまうのもまた事実。
 この先、彼に何か逆転の策があるのか…それは次巻のお楽しみということでしょう。

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