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2014.03.28

「八百万討神伝 神GAKARI」第2巻-第4巻 これにて完結、ドタバタ騒動

 楠桂の戦国伝奇ドタバタお色気コメディの残り3巻であります。邪神退治の旅を続ける超俺様ドSの修行僧・空也と、彼の精を奪おうと付け狙う…はずがひどい目に遭いっぱなしの二尾の狐・玉藻の珍道中もいよいよクライマックス。次から次へとおかしな連中が現れる果てに待っている者とは…

 御仏に仕えると言いつつ、敵には一切容赦せずに叩きのめす空也。そんな彼を支えるのは、その人間離れした腕力体力と、仏を実体化させるほどの力を持つ黒い血――どう考えても普通の人間ではない(そしてそれが玉藻が彼を付け狙う=ひどい目に遭う原因なのですが)空也の正体は、なんと異国の神と日本の女性との間に生まれた宿命の子。
 その神の名は――サタン!

 というわけで、早くも第2巻の時点で大変な秘密が判明してしまうのですが、まあそれでどうにかなるわけではないのが空也というキャラクターであり、本作という物語。
 何しろこの後も、それどころではない大「変」な連中が――妄想過剰のエクソシストシスターやらストーカーのからくり儀右衛門やらドM犬神やらアイドルグループの天龍八部衆やら――続々と登場するわけで、そんな怪人たちとのドタバタ騒動が本当に楽しい。

 お色気、というより完全に下ネタ連発のギャグの数々は、一見どぎつく見えるのですが、しかし陰湿さがないためか、むしろプリミティブなパワーを感じさせる――というのは、これは作者のギャグの特長ではないかと思いますが、そのベテランの技は本作においても健在。
 他の作品ではこのパワーに押されっぱなしになることが多い主人公も、上で述べたようにむしろ積極的にやり返すキャラで、その無茶苦茶な切り返しもまた楽しいのであります。
 もっとも、そんな空也も実は意外に…というのはお約束かもしれませんが、それがまた物語を転がしていく原動力となるのも、なるほどと感心であります。


 とはいえ…こうしてコメディ方面に力が入るのは良いのですが、その分、他の要素が――例えば時代ものとしての、伝奇ホラーとしての――後ろに行くにつれて薄まってしまったのは、やはり残念…というよりもったいないという印象はあります。
 いやもちろん、本作のようなナンセンスギャグ色の強い作品でそれを言うのは野暮の極みではありますが、特に第1巻がその点でよくできていただけに、私としてはそう感じてしまうのであります。

 さらに言えば、最後の敵が実は誰も×していなかったというのも、甘いと言えば甘い気はするのですが…これはまあ、ギャグに繋がる部分があったのでアリでしょうか。


 などと、うるさいジャンルマニアの言いがかりになってしまい恐縮ですが、そんなことを言いつつ、やはりテンポの良さとギャグのつるべ打ちで最後まで読まされてしまったのは間違いないところであります。
 これ以外ないとはいえ、非常に後味の良い結末も楽しく、4巻で完結となってしまったのがあまりにも残念なくらい楽しませていただいたのは、間違いありません。


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