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2014.03.29

「あやかし秘帖千槍組」(その一) 見参、妖かし守りの美女三人

 妖怪が人々を苦しめているという海比呂藩にやってきた旅芸人一座。妖艶なお漣、侍姿のお蘭、おかっぱ頭のお輪、お人好しの黒丸――彼女たちの正体は、心と体に人間と妖怪を併せ持ち、妖怪と人間の揉め事解決のために戦う「あやかし守り」千槍組だった。藩を騒がす六道の妖怪に、千槍組が挑む!

 毎月ユニークなあやかし時代小説で楽しませてくれる廣済堂モノノケ文庫も一周年ということでめでたいのですが、三月の新刊もまた、実にユニークな作品であります。グループSNEの一員として、ゲーム関係の著作やライトノベルで活躍してきた友野詳の初の一般向け作品、初の時代小説――それが本作「あやかし秘帖千槍組」なのです。

 時はおそらく幕末近く、峠を越えて海比呂藩にやってきた旅芸人・白羽一座。
 妖艶な鳥追い姿の美女・お漣に、髪で片目を隠した美女剣士・お蘭、身軽なおかっぱ頭の美少女・お輪…と、荷物運びの暢気な青年・黒丸の、美女三人男一人から成る一座は、しかし襲ってきた山賊一味を軽々と叩きのめす凄腕揃いであります。

 そんな一座が訪れた村で聞いたのは、人々を襲う奇怪な妖怪たちの跳梁に、幼い藩主に代わって藩政を預かる家老の苛政と、不穏な噂ばかり。
 そんな折りも折り、村を襲ってきた奇怪な狼の群に立ち上がったのは、もちろん白羽一座――いや、人間と妖怪の平和のために戦う「妖かし守り」の千槍組。それぞれ人間と妖怪の間に生きる彼女たちは、天狗の若大将・千槍白羽丸から指令を受けた彼女たちは、諸国で様々な妖怪たち、悪人たちと戦い続けてきたのです。

 かくて海比呂藩で謎めいた陰謀を巡らせる六道――天・人・修羅・畜生・餓鬼・地獄――の妖怪たちと、千槍組の奇々怪々な戦いが始まる…というお話であります。


 冒頭で述べたとおり、本作は作者にとって初の時代小説。その意味では、読み始める前に不安がないわけではありませんでしたが、しかし時代小説は初めてでも、エンターテイメントではベテランの作者らしく、それは全くの杞憂でした。
 コミカルで個性的なキャラクターたちのやりとりに、奇怪な妖怪たちの描写、大仕掛けなストーリーと、ある意味エンターテイメントのお手本のような内容は、むしろ手堅さすら感じさせる安定感であります。
(もっともこの辺り、どこかの国・どこかの時代という、ファンタジーの一変種とも言うべき舞台設定に依るところも大きいかもしれませんが…)

 以下、長くなるので次回に続きます。


「あやかし秘帖千槍組」(友野詳 廣済堂モノノケ文庫) Amazon
あやかし秘帖千槍組 (廣済堂文庫)

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コメント

友野先生はご友人の朝松健先生のご紹介で今回書かれたそうです。友野先生はパロディを作品に入れるので有名ですが、今回の千槍組の面々、女性三人と、それをサポートする男というのは「チャーリーズ・エンジェル」がモデルだそうです。友野先生は4月にも時代小説『からくり隠密闇成敗 孤兵衛推参(まい)る(仮)』(富士見新時代小説文庫)が刊行予定だそうで、こちらは忍者物だそうです。

投稿: ジャラル | 2014.03.30 12:43

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