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2014.04.26

「毒蛇魔殿 娘同心七変化」 美少女同心に迫る毒蛇魔!

 最近は同じレーベルで並行して展開されている「大江戸巨魂侍」(しかしすごいタイトルです…)に押されてご無沙汰でしたが、娘同心・小手川美鈴が帰ってきました。今回の事件は、銀の毒蛇を操る殺人鬼・毒蛇魔との対決。江戸を震撼させる連続殺人に挑む美鈴ですが、事件の陰には…

 将軍家斉の嫡男を救ったことから、褒美代わりに夢だった町方同心となった柔術小町の美鈴。教育係である熱血同心・石見新三郎と、彼が使う岡っ引きの源蔵親分とともに、今日も彼女は得意の七変化を駆使して大活躍。
 アバンタイトル的に、颯爽たる活躍で凶賊たちを一網打尽にした美鈴ですが、そのすぐ近くで、惨劇が起きていたのでありました。

 酌婦から大店の後妻に収まり、亭主に薬を盛って家を乗っ取った毒婦――彼女が風呂に入っていたところに、銀色の毒蛇に噛まれて即死したのであります。

 さらにとあるやくざの親分が文字通り謎の毒牙にかかり、後を追った代貸しが目撃したのは、奇怪な真蛇の能面を被った謎の怪人。
 誰が呼んだか、毒蛇魔と名付けられた怪人の凶行を止めるべく奔走する小鈴たちですが――その後も毒蛇魔の跳梁は続きます。

 そして彼女の前に現れるは、毒蛇魔を追う死客人(殺し屋)の坊主に、前作で死闘を繰り広げた強敵・血桜お練。さらに、何者かに狙われる蝋燭売りの健気な少年も事件に絡み、入り組んだ事件の謎に、新三郎や女侠・ジャガタラお千とともに挑む小鈴ですが…


 作者の作品をすべてチェックしているわけではありませんが、おそらくは作者が最も乗って書いているのは、本シリーズではありますまいか。
 作者の男装美少女好きはつとに知られたことではありますが、本作の主人公・美鈴はまさにそのものずばりの存在。
 そしてそんな彼女が、さらにある時は博徒、ある時は飴売り、またある時は腰元や中国娘に七変化して活躍する姿は、実に活き活きと輝いていて、作者の愛が感じられます。
(愛といえば、本作に登場するあと二人の美女、ジャガタラお千と血桜お練の暴れっぷりにも、大いに愛を感じます)

 かくいう私も、美鈴ファンの一人なのですが(いつもながら笠井あゆみの表紙絵が美しい!)、今回はさらに謎の毒蛇魔、そして毒蛇魔殿の登場と、外連味が存分に効いているのが嬉しい。

 男装の美少女同心も、奇怪な仮面に隠れた謎の殺人鬼も、もちろん現実にはいるはずのない存在、フィクションの世界といえども、あまりに時代がかった存在ではあります。
 しかしそれだからこそ今この時代に登場する意味がある、描かれる意味がある…とまでは申しませんが、たまには理屈抜き、とにかく鮮やかに、インパクト優先の極彩色の活劇があってもいい、そんな風にも感じるのです。

 ただし、正直なことを申し上げれば、前二作に比べれば、本作の物語展開自体はかなりシンプルではありますし、謎解きもさまで意外なものではありません。
 その点だけはやはり大いに残念ではあり――ここはさらに派手に、外連味を増していく方向に突き抜けてもよいのかもしれません。


「毒蛇魔殿 娘同心七変化」(鳴海丈 廣済堂文庫) Amazon


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