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2014.05.09

「ガーゴイル」第1巻 聖域を守る鬼ふたたび

 最近、小説家としてはすっかり時代ものづいている冲方丁が、近藤るるると組んで送る幕末異能アクション「ガーゴイル」の第1巻であります。異能力者の集団・新撰組が、聖域たる京の都を守るため、同じく異能の持ち主たちと死闘を繰り広げることとなるのですが…おや、この話は?

 時は池田屋事件の直後、それまで壬生狼と忌み嫌われていた新撰組が、一躍京の守護者として人気者となった頃――
 沖田に捕らえられたものの、尋問される前に何者かに奇怪な形で殺害された長州浪士。そしてその何者かは、土方の前にも姿を現します。

 その正体は八瀬童子…帝の御駕籠を担ぐ者たち。そしてその中でも八大金剛を自称する男が、奇怪な能力で土方に襲いかかるのですが――しかし、迎え撃つ土方もまた、異能の持ち主だった!

 実は新撰組はそれぞれ異なる異能の持ち主ばかりが集められた戦闘集団。長州を操り何事かを企む八瀬童子に対し、会津侯の命を受けて全面対決を挑む新撰組ですが――しかし予知能力を持つ沖田は不吉な「夢」を見、そして彼らを束ねる近藤勇の真の姿は…


 と、ありそうでなかった幕末異能バトル、それも新撰組が忍者――というよりX-MENばりの一人一能力の持ち主というのは、これはもうコロンブスの卵というべきアイディア。
 この第1巻の時点でも、土方、沖田だけでなく、武田、緒方(ちらりと永倉も)といった面々も異能を披露し、敵方も含め、この先何が飛び出してくるか全く予想もつかない物語であります。


 …が、私はこの物語を、このキャラクターたちを、かつて見たことがあります。
 それはこのブログでも以前紹介した、同じ冲方丁・原作、野口賢・画の「サンクチュアリ THE 幕狼異新」――そう、本作は、この「サンクチュアリ」のリブートともいうべき内容なのであります。

 非常に斬新な設定であり、時代伝奇ものとしては実に魅力的でありつつも、残念ながら物語の途中で終了した「サンクチュアリ」。
 本作はその続編ではなく、(現時点では)ほとんど同じ設定を用いつつも、初めから語り直した作品なのです。

 そんな本作と「サンクチュアリ」の最大の違いは、言うまでもなく作画担当者であります。
 本作の作画は冒頭に述べたとおり近藤るるる。個人的には「ファミ通」で連載していた諸作の印象が強く、この殺伐とした世界を描くにはいささか可愛すぎるのではないかとも感じたのですが…(実際、沖田は近藤ヒロイン的なビジュアル)

 しかし、考えてみれば作者の作品には、幕末を思わせる世界でのアクション「黒蘭」があります。その辺りを踏まえての起用でもありましょうか、好みは分かれるかもしれませんが、漫画的なディフォルメが効いた描写は、想像以上に違和感のないものでありました。


 しかし物語も描写も、まだまだこの第1巻は序の口という印象ではあります。かつて描かれた世界を、本作がどのように再構築し、そして超えてみせるのか?
 聖域を守る鬼瓦、ガーゴイルの戦いは――すなわち本作はこれからが本番、異能の新撰組の活躍を、今度こそ最後まで見届けたいものです。


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