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2014.05.01

「どろろとえん魔くん」第2巻 ついに登場したあの男は…

 手塚治虫の「どろろ」と永井豪の「ドロロンえん魔くん」のコラボ企画――戦国時代を舞台に、成長したどろろとえん魔くんの妖怪退治道中を描く怪…いや快作の第2巻、完結編であります。この巻ではついにあのキャラも登場、どろろの旅もついに終わりか、と思われたのですが…

 本作の舞台となるのは、「どろろ」の数年後の世界。どろろは、「どろろ」の結末で、自分の前から一人姿を消した百鬼丸を追って旅を続けております。
 それも、自分だと百鬼丸にわかってもらえるよう、百鬼丸と同じ格好をし、百鬼丸と同じく妖怪退治を続けているのですが…

 そこに現れたのがえん魔くん(とシャポーじい)。どうやら現代からこの時代にやってきたらしい(のですが特にその辺りの説明はなし)えん魔くんは、半ば無理矢理どろろと同行、コンビを結成して、各地で妖怪退治を繰り広げることになるのであります。

 その基本設定はこの巻でも同様ですが、しかし登場する妖怪や、妖怪たちが引き起こす事件のバカバカしさ――というよりエロさ、下品さはいよいよパワーアップ。
 妙にシモの方に偏った能力を持つ妖怪たちにどろろが追い詰められ、あられもない姿となったところにえん魔くんが駆けつけて――というのが基本パターンで、この辺りはある意味永井豪のギャグ漫画によくある展開ではありますが…
 しかしそれを漫画の神様が作ったキャラでやってしまうのは、なんともダイナミックであります。


 そんなわけで非常に感想が書きにくい作品ではあるのですが、時代伝奇者としてやはり気になってしまうのは、この巻においてついに百鬼丸が登場することでしょう。
 この巻では都合二度百鬼丸が登場、一度目はニアミス、二度目は最終回でついにどろろと百鬼丸が再会することになるのですが――どちらのエピソードも作中でも一二を争うシリアスなエピソードであり、かつ一ひねりある展開でなかなか面白い。

 最初のエピソードでは、百鬼丸が妖怪ではなく一般人を斬った!? という展開で、これは原作の方にあっても違和感ない内容でありましょう。
 そして最終回は…これはさすがにここで詳しくは触れられませんが、クライマックスで明かされるある真実には、唖然とするほかありますまい。
(エピソード冒頭からのえん魔くんの悪夢がここで生きてくるのがうまい)

 これはこれで、原作ファンは他のエピソードとは別の意味で怒りそうな内容ではありますが、ここに来て一気に作品世界が広がる展開を用意してみせたのは、これはさすがは…と言うべきでありましょう。

 原作の無常感をどこか漂わせつつも、今後も続く戦いの予感を描き出した、コラボな結末だった…というのは言いすぎでありましょうか。


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コメント

私的には「どろろ」はアニメの「どろろと百鬼丸」の最終回、非道な所業で人間から妖怪になっていた実の父を斬って人間に戻れたが、心に傷を受けた百鬼丸はどろろと別れて・・・という最終回(一応手塚先生監修済)が印象的だったので、今回は意外な展開でしたね。

投稿: ジャラル | 2014.05.04 13:35

ジャラル様:
「どろろ」は原作がほぼ未完なだけに、後続する作品ごとにそれぞれの結末があるのが面白いですね。
アニメ版の結末はその中でも一番しっくりくるように思いますが、本作の「ダイナミックな」結末もなかなか気に入っています。

投稿: 三田主水 | 2014.05.05 21:37

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