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2014.05.02

「薔薇色の人 姫は、三十一」 三十路女探偵ならではの事件

 謎解き屋を始めた松浦家の姫・静湖に持ち込まれた依頼は、売れっ子絵師・清麿の美人画に描かれて大人気の町娘たちを付け狙う不届き者探し。一方、町ではかつて美貌を謳われた女性たちが袂に一両入れられて殺されるという事件が発生。そちらの謎にも首を突っ込む静湖だが…

 「妻は、くノ一」の続編ドラマの放映も近づいてきましたが、その原作のスピンオフ、「姫は、三十一」を久々に紹介しましょう。
 主人公は、「妻は」で重要な役割を果たした松浦静山の娘・静湖。不運の連続で三十一になるまで未婚の彼女は、ある年の暮れに、知り合いのおかまから「来年は三十八万四千年に一度のモテ年」と占われることになります。
 その占いが当たったか、次から次へと彼女の前に現れるタイプの違うイイ男たち。彼らの存在も刺激になって、静湖は自立すべく、一件三両の代金で「謎解き屋」を開業するのですが…

 と、色々な意味で豪快な設定の本作ですが、史上空前のモテ期到来の静湖の前には巻を重ねるごとにイイ男たちが現れて、その数は十数名。もう巻頭の人物紹介を見ないと追いつかないほどですが、この巻でもまだ増えます。
 そんな彼女が謎解き屋を開業するに至ったのは、密かに憧れていた「妻は」の主人公・雙星彦馬の影響で、というのも楽しいところです。

 さて、そんな彼女が今回挑むのは、「女」をめぐる二つの事件であります。
 浮世絵に描かれて町のアイドルになった女の子たちにつきまとうストーカー探しに、今は盛りを過ぎてしまったけれども昔は美貌で周囲を騒がせた女性たちの殺人事件――

 それぞれの被害者たちとは年齢的には中間(というより後者にだいぶ近い)の位置にある静湖が捜査の中で見たものは、移ろいやすい女性たちの美と、それに群がる男たちの姿なのであります。


 設定的には面白いものの、彼女ならでは、という事件が多かったような印象のある本シリーズですが、本作はまさに彼女が挑む、彼女ならではの事件。
 事件に絡むのは、かつての彼女、この先の彼女とも言うべき女性たちであり、そして時期はずれているものの、今男たちにモテまくっている彼女にとっては、彼女たちの境遇は、全く他人事ではないのであります。

 その証拠と言うべきか、クライマックスの展開は…というのは伏せますが、女探偵ものとして、こういう物語の作り方があったかと興味深く感じました。


 そしてもう一つ、注目すべきは、そんな静湖が本作で対決する殺人犯の人物造形であります。
 ミステリ色の強い作品を得意とする作者のこと、これまでも様々な「犯人」が登場してきましたが、本作のそれは、これまで描かれてきた中でも、飛び抜けて厭な犯人像。

 冷静に考えてみるとそれほど珍しくもない類型なのですが、物語の小道具や犯人を取り巻く環境、そしてもちろん物語展開も相まって、なかなか強烈。
 特に最後の殺人のハウダニットなどは、この犯人ならでは、この事件ならではのもので、強く印象に残ります。


 もちろん、そんなおぞましい事件も静湖のパワーと男たちの協力で解決してハッピーエンドなのですが…
 さて、このままでは彼女のファンも二十人にまで達しそうな勢いの中、物語はどこに進んでいくのか。やはり本シリーズは面白いな、と再確認したところなのです。


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