« 「猫絵十兵衛御伽草紙」第9巻 女性たちの活躍と猫たちの魅力と | トップページ | 「煉獄に笑う」第1巻 三百年前の戦いに集う者たち »

2014.05.19

「曇天に笑う 外伝」上巻 一年後の彼らの現在・過去・未来

 いよいよキャストも発表され、アニメへの期待も高まる「曇天に笑う」、その「外伝」上巻と、過去の物語を描いた「煉獄に笑う」第1巻が同時発売となりました。ファンとしてはもちろん両方に飛びついたわけですが、まず今日は「外伝」の方を紹介いたしましょう。

 明治初期の琵琶湖周辺を舞台に、三百年に一度復活するという人類の敵・呪大蛇と、それを封じてきた曇神社の三兄弟――天火・空丸・宙太郎たちの戦いを描いた「曇天に笑う」。
 今回発売された外伝は、その後日談であり前日談であり、語られざる物語であり――本編で語られなかった、特にキャラクターの過去と未来にスポットライトを当てた内容となっています。

 この上巻は全四話構成――
 オロチ消滅から一年後、平和になった世界でそれぞれの時間を過ごすキャラクターたちの日常を描く第一話。
 第一話から12年前(すなわち本編から約10年前)、?存命だった曇三兄弟の父・大湖と、天火を含む特殊部隊「犲」の面々の交流を描く第二話。
 再び一年後に戻り、すれ違いが続いていた天火と犲の間の和解、天火が背負ってきた想いが描かれる第三話。
 そして本編ラストで命を絶った…と思われたあの人物が、自分と弟の辿ってきた凄惨な過去を振り返ることになる第四話。

 このように、基本は一年後の「現在」を舞台にしつつ、キャラクターたちの「過去」が掘り下げられていく構造となっていますが、しかしそれと並行して時間は「現在」進行形で流れ続け、さらなる物語が紡がれていくというのが、なかなか楽しい趣向であります。
(個人的には、本編最終回でいつの間にか姿を消して、そのままラストまで姿を見せずにいたため安否を気遣っていたあのキャラが元気に日常を送っていたのにホッと一安心)

 そんな本書の中で、特に印象に残るのは、第四話でしょうか。

 ファンタジックな要素も少なくない「曇天に笑う」という物語において、また別のベクトルの非日常感を漂わせていた一族、伝奇ものではメジャーな存在とはいえ、本作では語られることの少なかったあの集団――

 そこに属していたあるキャラクターの過去を描いたエピソードは、やはり強烈に三兄弟たちのそれとは異なる、文字通り住む世界が違うという印象なのですが、しかしこれほどの過去があってこその、本編でのあの大どんでん返しか…と納得させられます。
 そして(あの人物の去就も含め)分量的、内容的に本編に含めるのは難しかったであろうことを考えれば、まさに外伝向きのエピソードと感じた次第です。


 しかしこのエピソードは、そしてこの外伝は、これだけでは終わりません。
 第四話のラストで語られるのは、ここまでの物語を受けての天火の新たな旅立ちですが――しかし物語はそれに止まらず、あるキャラクターに関する爆弾が炸裂して、次に続くことになるのであります。

 なるほど考えてみれば、この大蛇を巡る物語の中で、このキャラは最も大きな過去と解決されるべき問題を抱えた存在。
 さてそれがどのようにこの先描かれるのか…過去を中心とした外伝なのに未来が気になるというのは、これはやはり本作ならではの魅力と言うべきでありましょう。


「曇天に笑う 外伝」上巻(唐々煙 マッグガーデンビーツコミックス) Amazon
曇天に笑う 外伝(上) (ビーツコミックス) (マッグガーデンコミックス Beat’sシリーズ)


関連記事
 「曇天に笑う」第1巻
 「曇天に笑う」第2巻 見えてきた三兄弟の物語
 「曇天に笑う」第3巻 曇天の時代の行く先は
 「曇天に笑う」第4巻 残された者たちの歩む道
 「曇天に笑う」第5巻 クライマックス近し、されどいまだ曇天明けず
 「曇天に笑う」第6巻 そして最後に笑った者

|

« 「猫絵十兵衛御伽草紙」第9巻 女性たちの活躍と猫たちの魅力と | トップページ | 「煉獄に笑う」第1巻 三百年前の戦いに集う者たち »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/13655/59666823

この記事へのトラックバック一覧です: 「曇天に笑う 外伝」上巻 一年後の彼らの現在・過去・未来:

« 「猫絵十兵衛御伽草紙」第9巻 女性たちの活躍と猫たちの魅力と | トップページ | 「煉獄に笑う」第1巻 三百年前の戦いに集う者たち »