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2014.09.07

『おそろし 三島屋変調百物語』 第2夜「凶宅」

 先週より放映開始となりましたドラマ『おそろし 三島屋変調百物語』、プロローグ的位置づけの前回に続き、今回からいよいよ変調百物語のいわば本編に入るわけですが…今回のエピソードは原作でも最も恐ろしかった「凶宅」。最初にしていきなり変化球のエピソードであります。

 叔父・伊兵衛のたくらみ(?)で三島屋に持ち込まれる怪談・奇談の聞き手となる羽目になったおちか。その初回となる今回の語り手として店に現れた女・おたかは、「お化け屋敷の話」と称して、自分の子供時代の話を始めることとなります。

 流しの錠前職人だったおたかの父・辰二郎が偶然足を踏み入れた安藤坂にある屋敷。そこで彼は、番頭を名乗る男から、珍しい木造の錠前の鍵をこしらえて欲しいという依頼を受けることとなります。その錠前を妻子には見せてはいけないという奇妙な注文とともに。
 自分の手には負えないと錠前を師匠の清六のもとに持ち込んだ辰二郎ですが、清六はその錠前に尋常でないものを感じ、ついには火の中に投じてしまいます。火の中に浮かぶのは、錠前に刻まれた怪物が蠢く姿…

 この時点でなかなか厭な話ですが、しかし物語はまだ続きます。錠前の償いに、あの安藤坂の屋敷に一年間、家族を連れて住むことを番頭から持ちかけられた辰二郎は、報酬の百両につられ、嫌がる妻を説き伏せて一家で越してくることになります。
 これだけ見ると百両という大金につられたように見えますが、しかしどう考えてもこの時点で辰二郎は何かに魅入られていたのではないか、と感じてしまうのは、移り住んだ後に新しい錠前を幾つも幾つも作っていく彼の姿から感じられるのですが…

 さて、これから先、どんなおそろしい事件が待ち受けているのだろう、というこちらの思いは、しかし、おたかの言葉によってあっさりと裏切られます。一年が過ぎ、それでも彼女の一家は屋敷に「今でも住み着いている」という言葉に…

 ここから先はどんでん返しの連続なので詳細は避けますが、おたかの異様な「変貌」(演じる小島聖が真剣に怖い!)から、おたかの語りの途中で何度か描かれた、現在の三島屋の外で何やら慌ただしい事態の意味がわかり、そして何段重ねもの「真実」に雪崩れ込んでいく様は、お見事というほかありません。

 これは色々な意味でネタバレになってしまい恐縮なのですが、あの『シャイニング』の時代劇版と申しましょうか…
 もちろん原作の出来の良さもあるのですが、この場面のインパクトはやはり絶大で、過去のおたかのピンポイントの演技も相まって、雪の降る中に浮かび上がる一つの「真実」の姿には震え上がるばかりでした。
(焼死体のアップはさすがにやりすぎ感は否めませんが…地上波での放送はどうするのかしら、という余計な心配が)

 冒頭でこのエピソードを変化球と申し上げましたが――そしてその印象は、実は原作初読の時点から持っていたのですが――こうして映像で見直してみると、「語り」という本作ならではの趣向を逆手にとってみせた構成の巧みさに感心させられた次第です。


 それにしても「今でも住み着いている」とは…



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