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2014.09.21

『おそろし 三島屋変調百物語』 第4夜「魔鏡」

 早くも残すところあと2話、ラスト1話前となったTVドラマ版『おそろし』、今回のエピソードは、禁断の恋から生まれた因縁が込められた鏡にまつわる物語であります。鏡を見るのが恐ろしくなるかもしれない、という断りを入れて語られる物語が示すものとは…

 今回の物語の語り手は、三島屋の女中・おしまのかつて仕えていた先の娘・お福。今は幸せに暮らす彼女ですが、しかし彼女が生まれ育った実家は、既に滅んでしまったというのですが…

 上に年の離れた姉と兄がいたお福。病がちで彼女が生まれる前から江戸の外に療養に出ていた姉が10数年ぶりに帰ってきた時、悲劇の幕が開けることになります。

 お福とっては自慢の種だった、美男美女の姉と兄。一見仲むつまじい二人は、しかしいつしか互いに男女として惹かれあうようになっていたのでありました。

 それを知った店の老職人がお福の両親に注進したものの、激昂した父ともみ合う中、誤って熱湯をかぶって死亡。
 二人の関係が両親にも明らかになり、兄は修行の名目で店を出されることになったのですが――そんな中で姉は懊悩の末、自ら命を絶つのでした。

 そんな悲劇が続きながらも、兄が修行先の娘――姉とは似ても似つかぬ不美人で、しかしけたたましいほどに明るい女性――を嫁として連れ帰り、少しずつ明るさを取り戻し始めた店。
 しかし、姉が使っていた鏡――姉の遺品が処分される中、兄が隠していたその鏡を嫁に与えたことから、新たな、そして決定的な悲劇が始まることに…


 禁断の愛というなかなか難しい題材を扱った今回ですが、(クライマックスを除けば)直接的ではなく、二人の間のちょっとした描写で、ただならぬ関係が育っているのを示すのが印象的でありました。
 そしてクライマックスも、冒頭で語られた、黒絹の布団に白い肌の女性が…という何とも蠱惑的なビジュアルを、節度を守りつつ(?)やってくれたのは健闘と言うべきでしょう。

 その一方で残念なのは、肝心の怪異描写が今一つであったことであります。
 何よりも今回のメインとなるべき鏡の怪異が、特に見せ方の点で薄味というか…原作ではこの辺り、死者と生者の人格交換という厭な題材であったこともあり、ずいぶんと怖い印象があっただけに、何とも残念ではあります。

 ラストもちょっと良い話調に締めくくられたのは違和感がなくもありませんが、しかし「どうしようもなかった」という救いもある、という視点を示してくれたのは、これはなかなかに面白い点であったと思います。


 しかしこの回で最も盛り上がったのは、ラストシーンではありますまいか。
 実家にいたはずのおちかの兄が江戸に向かっているという知らせが入り、そして第2話に登場した凶宅事件の生き残り・おたかを襲う超常現象と「蔵が開いた」という彼女の言葉――

 これまでのエピソードが一つに繋がり、この物語の結末に向かってなだれ込んでいくという引きには、否応なしに次回への期待をそそられるのであります。



関連サイト
 公式サイト

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