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2014.10.20

『煉獄に笑う』第2巻 へいくわいもの、主人公として突っ走る

 TVアニメもいよいよ放送開始となった『曇天に笑う』の前日譚、三百年前の戦国時代を舞台に繰り広げられる大活劇『煉獄に笑う』の第2巻が発売されました。謎の「髑髏鬼灯」を巡る石田佐吉の冒険もいよいよ佳境、次々と曰くありげな連中が彼の前に現れるのですが……

 秀吉の命により、髑髏鬼灯なる謎の存在を探すこととなった佐吉。その在処を知る者がいるという曇神社を訪れた彼は、そこで忌み子として周囲から疎まれる男女の双子――曇芭恋と阿国と出会うことになります。

 この二人、周囲の視線を気にも留めず、いやむしろ挑発するように悪戯と悪行三昧。堅物の佐吉は散々に振り回された末、鉄砲鍛冶・国友の頭を巡る争いに巻き込まれて……というのが第1巻までのお話。

 何故曇の双子が国友の争いに首を突っ込むのか、それもわからぬまま、佐吉は己の信念と正義感から突っ走るのですが、この「へいくわいもの」ぶりが、本作のような活劇の主人公としては実に気持ち良い。
 曇の双子が完全にトリックスター的な描写であるだけに、そのコントラストもまた魅力的に映るのであります。

 頭でっかちであったり小才子として描かれることの多い佐吉――言うまでもなく後の名は三成――が、ちょっと角度を変えるだけでこのように見えるのか、というのはこれは嬉しい驚きです。


 閑話休題、しかし髑髏鬼灯の秘密を追うのは佐吉だけではありません。信長、家康、本願寺、そして伊賀――

 果たして戦国を動かす者たちが求める髑髏鬼灯にどのような秘密が隠されているのか……この巻ではその一端が語られるのみですが、ここで登場するのは、『曇天』読者であればお馴染みの「あの存在」との関わり。

 呪大蛇伝説の中核を成すあの存在は、同時に曇サーガとも呼ぶべき一連の物語を大きく動かす存在でありますが、さて本作においてそれがいつ、どこに登場するのか……それはもちろん、まだまだ謎の先であります。

 そして登場といえば、どうしても期待してしまうのは、『曇天』に登場したキャラクターたちの先祖の存在ですが――この巻ではいずれ登場するだろうと思われた一族の者が、ちょっと意外なビジュアルで登場。
 このあたりも含めて、本作は、前日譚という性格を最大限に利用して、こちらの興味をグイグイと引きつける物語を――最初から全力疾走で――見せてくれるのが、何とも嬉しいところであります。


 そして国友の争いが解決したのも束の間、佐吉たちの前に現れるのは、伊賀忍びを率いる百地丹波。
 一筋縄ではいかない存在感を漂わせる丹波に対して、即席コンビを結成した佐吉と芭恋がどのような暴れっぷりを見せてくれるのか――いやはや楽しみは尽きません。


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