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2014.10.18

『蒼眼赤髪 ローマから来た戦国武将』第2巻 騎士道vs武士道vs外道……?

 事実は小説より奇なり、戦国時代の日本に来日して蒲生氏郷に仕える武士となった山科羅久呂左衛門勝成ことジョバンニ=ロルテスの活躍を描く『蒼眼赤髪』の第2巻であります。心ならずも信長に仕えることとなった蒲生鶴千代(氏郷)とジョバンニが知った信長の真意とは……

 かつてローマに渡った鶴千代との再会を期待して、イエズス会の宣教師とともに海を渡ってやってきたジョバンニ。しかしその時、蒲生家の主家は信長に滅ぼされる寸前でありました。
 そしてジョバンニともども捕らえられた鶴千代の前で、彼の母は自害に等しい死を迎えることとなります。信長についていきなさい、という不可思議な言葉を残して――

 母の遺言はあれど、当然ながらその仇である信長に膝を屈することに納得できない鶴千代。しかしそんな彼に対し、信長は自分の娘を娶せた上、烏帽子親――元服の際に烏帽子を被せ、新たな名を与える後見役的存在――となることを申し出るのでありました。
 しかしこれこそは信長の至近に迫る千載一遇のチャンス。蒲生家の先祖、俵藤太が大百足を討ったという家宝の矢を献上すると見せかけ、信長を討つことを考える鶴千代ですが……

 敵対する者は女子供であれ容赦しない信長。その姿は、ジョバンニが「外道」と呼んだのに相応しいものかもしれません。
 その一方で、敗者の子である鶴千代を厚遇し、自分の命を預けるような真似を平然としてみせる信長は何を考えているのか?

 鶴千代、いや元服して氏郷の、そしてジョバンニとの対峙を通じ、信長の真意が明らかになっていくこととなります。
 さらに北畠具教との対峙を通じ、己の弱さを悟ったジョバンニは、信長の大きさを知り、山科羅久呂左衛門勝成の名乗りを挙げることに――


 というわけで、この巻はいわば信長-氏郷-ジョバンニ主従の誕生編とも言うべき内容。
 線の細さばかりが目立った氏郷(……は、まだまだ発展途上ですが)、豪快さが悪目立ちしていた感のあるジョバンニ、何を考えているのかわからなかった信長、それぞれのキャラクターが掘り下げられ、収まるべきところに収まった印象があります。

 特に、ルネッサンス期のヨーロッパを知るジョバンニの目から見た信長像はなかなか興味深く――いささか白黒がはっきりしすぎている感はあるものの――なるほど、この主人公なればこその「外道」信長像でありましょう。


 かくて武士道・騎士道・外道が揃った本作ですが――そもそもこの時代に武士道という概念があったのか、という致命的な問題は置くとしても――まだまだ食い足りない印象はあります。

 秀吉をはじめとして、過剰にデフォルメされた戦国武将たちに魅力を感じられるかといえばそれは今のところ否であり、一種の漫画的アレンジ(ほとんど着流しで織田軍相手に無双する具教など)も、本来であれば規格外の存在であるはずのジョバンニを埋没させかねない……いささか厳しく申し上げると、そんな印象があります。

 この辺りが解消されるのか、はたまた逆に突き抜けてみせるのか――いずれにせよ、ジョバンニにはもっともっと暴れていただきたいと感じているところではあります。


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