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2014.10.08

『金田一耕助VS明智小五郎ふたたび』(その一) 名探偵二人の対決の先にあるもの

 本格ミステリの名手・芦辺拓による、二人の名探偵――金田一耕助と明智小五郎の対決を描くパスティーシュを集めた作品集の第2弾であります。前作同様、本作もTVドラマ『金田一耕助VS明智小五郎 ふたたび』の原作に当たる作品を収録したものとなっています。

 前作『金田一耕助VS明智小五郎』に収録され、同じ『金田一耕助VS明智小五郎』のタイトルでドラマ化された『明智小五郎対金田一耕助』。
 あちらが戦前――金田一耕助が『本陣殺人事件』において名探偵として本格デビューする直前を描いた作品であったのに対し、本書に収録され、ドラマ続編の原作となった『明智小五郎対金田一耕助ふたたび』は、終戦直後を舞台とした作品であります。

 金田一耕助でこの時期の事件と言えば、復員直後の彼が挑んだ『獄門島』が浮かびますが、本作はその少し後の作品。どちらかといえば僻地を主な活躍の舞台とする印象のある金田一ですが、本作は東京の、没落貴族の屋敷を舞台とした連続殺人に挑むことになります。

 度重なる不運と周囲の悪意によりその命運は風前の灯となった柳條家。その当主の息子・月光から、乗っ取りを狙う悪人たちの調査を依頼された金田一は、彼らが集まるというレストランに向かうのですがこれが不発。
 それどころか、その間に月光が自邸で謎の怪人によって無惨に殺され、さらに彼の美しい姉妹にもまた、謎の魔手が迫ります。

 この怪事件に挑む金田一ですが、その前に現れたのは先輩名探偵たる明智小五郎。死の間際の月光から電話を受けた明智もまた、事件解決のために立ち上がったのであります。かくてタイトルの通り、ふたたび名探偵の対決と相成るわけですが――

 『明智小五郎対金田一耕助』が、比較的変則的な対決であったのに対し、本作においては真っ向から対決することとなる両雄。
 本来であれば共に謎に挑むべき名探偵同士が鎬を削ることになるには、その舞台設定が重要であることは言うまでもありませんが、本作はそれを巧みな展開できっちりと――それも物語自体の構造と結びつく形で――成立させているのに感心させられます。

 前作同様、名探偵としては後輩に当たる金田一の方がいささか分が悪い――というより貧乏くじを引かされるのはちょっと可哀想ですが、その先で二人がたどり着いた真実に対する二人の想いが印象に残ります。


 ちなみに本作のトリック、映像化はかなり難しそうなのをドラマ版ではどう料理するのか…と思いきや、ドラマ版は豪快に原作とは異なる内容となっていて、これはこれでなかなか楽しめたところではあります。

 と、一作目だけで長くなってしまいましたので、残りは次回に。


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