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2015.04.07

『ケダマメ』第2巻 今明かされるあの男の真実!

 西暦1246年の鎌倉に現れた奇怪な男・虚仮丸が、傀儡の少女・まゆを守るため奇想天外な戦いを繰り広げる『ケダマメ』の第2巻であります。虚仮丸とまゆ、彼らを襲う敵たちにまつわる数々の謎の、そのあまりに意外な答えの全てが、ここで明かされることとなります。

 混沌とした鎌倉を訪れた傀儡一座で下働きを務める隻腕の青年・虚仮丸。自分自身のことを問われても常に虚仮ではぐらかす彼には、恐るべき能力がありました。
 それは、彼のないはずの左腕をはじめ、身体の一部を――例えば腕を蟹の爪に、蛸の触腕へと――他の動物の一部に変えて操る能力。己の身体を、人間と他の動物の混合に変化させる能力であります。

 そしてその奇怪な能力を使う彼の目的は、同じ一座の踊り手・まゆを守ること。
 いかなる理由によるものか、普段の脳天気な言動にも似ぬ真摯さでまゆを守らんとする虚仮丸ですが、守る者があれば襲う者がいます。

 「明日の国」から来たという教祖を戴き、鎌倉に隠然たる力を持つ宗教教団・髑髏道に狙われたまゆを救うべく、ついに虚仮丸は己の秘めた力を全開にするのですが、その代償に苦しむこととなります。
 その身体を癒すために彼が取った手段とは……


 虚仮丸はどこから来たのか、何故まゆを守るのか。何故まゆは狙われるのか。そして何よりもその奇怪な身体の正体は何か……
 何から何まで謎だらけであった本作。しかし、驚くべきことに、と言うべきでしょう、この巻の前半で、その答えの大半が明かされることとなります。

 それは――
 いや、こればかりはここで明かすわけにはいきますまい。

 時折現代の言葉を使う虚仮丸、「明日の国」なるワードから、おそらくは……というところまでは第1巻の時点で想像がつきましたが、しかしそれは本当に謎と秘密のごく一部に過ぎません。
 明かされてみればある意味シンプルにも感じられる真実ですが、しかしその一つ一つが物語を構成する要素と密接に結びつき、分かちがたく成立していることには感嘆すべきでありましょう。

 青年誌に掲載される漫画の中には、時に(そのメディアとしての要請から)全く異なるジャンルとしての装いを取りつつも、その背後で芳醇なSF的アイディアを用意し、そのギャップによってかえって強烈に、プロパー作品にも負けず劣らずのSFマインドを感じさせる作品がままあります。
 作者の代表作『オメガトライブ』もそうした作品の一つでありましたが、本作もまた、この系譜に属するものでありましょう。


 もちろん、今回感じた衝撃は、今回のみのもの。虚仮丸が、この物語が持つ秘密の大半が明かされたかのように見える今、物語の先行きが心配にならなくもないのですが――
 しかしここで手の内を明かしたということは、それでもやっていける、これに留まらぬものがまだあると……まだまだ伏せられた切り札があると想像してもよいように思います。

 何よりも虚仮丸がどれほど重いものを、想いを抱いて戦ってきたのか、そしてどれほど深い孤独を背負って生きてきたのか――それを知ってしまった今、こちらとしても彼を応援しない、あるいは見守らないわけにはいきません。

 未知の男の未知の物語をまだまだこれからも楽しみたい……それが偽らざる気持ちであります。


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