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2015.05.02

霜月かいり『BRAVE10S』第7巻 逆襲への第一歩

 思いもよらぬ伊佐那海の暴走により、大混乱のうちに関ヶ原の戦も終結。ある者は去り、ある者は深手を負い、ある者は散り――主君たる幸村も九度山に配流となり、真田十勇士壊滅状態の中で、それでも諦めない者たちの新しい戦いが始まることとなります。

 秀忠が伴ってきたスサノオにより多大な被害を受けた上、ついに伊佐那海がイザナミとして覚醒してしまう結果となった上田城攻防戦。
 既に開戦時から甚八は離反、鎌之介は行方不明という状況下での戦いは、アナスタシアが深手を負い、そして清海が命を散らすという結果に終わるのでありました。

 辛うじて上田城は守ったものの、十勇士は半数となり、幸村は九度山送り。そして表面上天下は静謐を取り戻したものの、イザナミとスサノオは、最もその力を手に入れてはいけない伊達政宗のもとに……


 という、なかなかに絶望的な状況下のこの巻で描かれるのは、謎の男に拾われた鎌之介の特訓の模様と、伊佐那海を取り戻そうとする才蔵の奮闘。
(色々背負っていそうな甚八の現在の様子など)

 特に前者は、これまで努力や修行という言葉とは無縁だった本能児・鎌之介が特訓を、というだけで気になるところですが、もちろん彼(?)が大人しく人に教えを請うわけもない。
 そんな相手に教えようとはこれはただものではないわけですが、なるほど、この人物であれば……と思わず納得の人選。一歩間違えれば便利な人扱いになりかねないキャラクターですが、そんな役割に甘んじそうにないところは、いかにも本作ならではのアレンジであります。

 これに対して才蔵の方は、相変わらず悩める男という印象ですが、ここで彼に絡んでくるのが、かつての宿敵であり、今は十勇士の同志である服部半蔵というのもなかなか面白い。
 キャラクターとしてはかなり堅い才蔵に対し、硬軟取り混ぜた……というか変態が入った半蔵はある意味良いコンビ。息が合っているのかいないのか微妙な中で、いつの間にか物語の核心に迫っていくのもまたこの二人らしいところでありましょう。


 そんなこんなで、一名欠員は出ているものの、逆襲への第一歩に踏み出した十勇士。そんな中、才蔵に起きた異変とは――

 と、意外に早いところでこの巻のラストが来たと思ったら、最後に収録されていたのは、ボーナストラックとも言うべき短編。
 正直に申し上げてここでこの話を入れられても、という印象は強いのですが、今の十勇士たちの状況を見れば、これはこれで貴重なエピソードではあるのかなあ……


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