『仮面の忍者赤影』 第1話「怪物蟇法師」
琵琶湖の南で勢力を広げる謎の宗教・金目教を探るため、竹中半兵衛が飛騨から呼び寄せた赤影と青影。早速、半兵衛の乱波を追う霞谷七人衆・鬼念坊を撃退し、その後を追う二人。しかしその前に、七人衆の一人・蟇法師と彼の操る千年蟇が出現。蟇の巨体に苦戦しつつも赤影は辛うじて撃退するのだった。
現在、YouTubeの東映チャンネルやAmazonプライムビデオで動画が公開されている『仮面の忍者赤影』。以前から紹介をしようしようと思っておりましたが、よい機会ですので、不定期にはなりますが、各話紹介をしていきましょう。
冒頭、いきなり凄まじい迫力で祈祷を行う白装束に怪しげなメイクの怪行者・幻妖斎。演じるは天津敏、大仰といえば大仰この上ないのですが、しかしそのインパクトによって、一瞬のうちに物語世界に引きずり込まれるのであります。
さて、その幻妖斎と金目教を探るために潜入した乱波は、あっという間に幻妖斎に見つかり、金目様のご神体に捕まってしまいます。かろうじて逃れた乱波が、どう見ても打ち上げ花火状態の狼煙で助けを求めるのはどうかと思いますが、それだけ追いつめられているということでしょう。
それはさておき、乱波を送り込んだのは、豊臣秀吉がまだ木下藤吉郎だった頃の股肱の臣・竹中半兵衛(演じるは若き日の里見浩太朗!)。そして半兵衛が切り札として呼び出したのは―― 「影をお呼びか!」「影はここに!」の声と(あとシャボン玉と)ともに登場したのはもちろん仮面の忍者赤影と青影!
乱波救出と金目教探索を請け負った二人は、早速乱波のもとに向かうのですが……乱波を追っていたのは見るからに荒法師然とした怪人・鬼念坊であります。
ひょこひょこと顔を出した青影に翻弄されるのは、大男総身に……といったところですが、しかし素手で刀を受け止め、手裏剣をかわしもせず弾き飛ばす姿はまさに鋼鉄の体であります。(というより斬られた服まで再生しているのですが……さすがは忍法)
しかし体は鋼鉄であっても唯一鍛えられないのは目玉。そこに手裏剣を食らった鬼念坊は這々の体で逃げだしたものの、すぐに息絶えてしまった乱波。
そこで鬼念坊の血の跡を追う赤影ですが……たどり着いた先の古寺で待ち受けていたのは、見るからに怪しげなオーラをプンプンさせる怪人、自ら名乗るは「俺の名はガマ! ほぉーし」……蟇法師。
そしてその操る忍法は「蟇変化」……と言っても自分が変身するわけではありませんが、その操る千年蟇は、人間の何倍もある巨体の上、口から火を吐く巨大ガエル。作品後半に登場する忍怪獣の先駆のような怪物です。
さしもの赤影も、寺を豪快に破壊しながら(この場面の特撮が、今の目で見ても十分な迫力!)迫る巨大蝦蟇には相手が悪い……と言いたいところですが、大物食いに関しては特撮史上に残る(?)赤影が怯むはずもありません。
隙を見て蝦蟇に飛びつき、滅多刺しにする赤影。さらに足下に手榴弾を投下し、蝦蟇の乗った橋を爆破。さしもの蝦蟇も、気持ちがいいくらい豪快に谷底に転落するのでした。
それで息絶えなかったところはさすがですが、蟇法師も「おお……蝦蟇よ蝦蟇!」と嘆き、撤退するのでした。
というわけで、金目教や赤影青影の紹介は最小限に止め、後は怪忍者との忍法合戦二本立てという、非常にシンプルな構造の第1話。
しかし冒頭のあらすじ(お馴染みのナレーションは第2話からですが)と主題歌を聴いていれば基本設定は一発でわかるわけで、後はもう豪快な秘術合戦を楽しめばいいという作りが実に気持ちいい。
そしてまた、そのシンプルな設定が、正義のために戦う仮面の忍者という、架空に架空を重ねたような存在を、不思議なリアリティのあるものとして描くことに成功しているように感じます。
もちろん、そこには赤影役の坂口氏の好演があることは言うまでもないですが……
<今回の忍者・怪忍獣>
鬼念坊
霞谷七人衆の一人。刀や手裏剣をもはじく鋼鉄の体を持つ荒法師。唯一鋼鉄ではなかった目を潰されて撤退する。
蟇法師
霞谷七人衆の一人。見た目は汚い老人だが忍法蟇変化で千年蟇を操る。赤影を寺におびき寄せるが千年蟇が敗退、とともに撤退する。
千年蟇
蟇法師の愛蟇。人間の十数倍もありそうな巨大なガマガエルだが、口から火を吐く能力も持つ。
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コメント
赤影の坂口さんは当時「子供番組で主演を演じれば役者としては終わり」という風潮がありましたが、それを覚悟して演じられたそうです。現在の元仮面ライダーや戦隊ヒーローOBが売れっ子俳優の現代とは大違いですね。
投稿: ジャラル | 2015.10.01 22:21
ジャラル様:
氏のその後を思うと色々と複雑なものがありますが、しかし今のイケメン俳優に勝るとも劣らない格好良さなんですよねえ……
投稿: 三田主水 | 2015.10.03 10:20