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2015.09.01

『戦国武将列伝』2015年10月号(その一) 第四のタイムスリップ時代劇!?

 隔月刊誌は当たり前ながら月号数が発売月の二ヶ月先になるわけですが、それでも10月号という文字を見るとドキッといたします。今年4号目の『戦国武将列伝』、新連載は倉島圭の異色作『下剋嬢』と、相変わらずユニークな作品揃い。今回も印象に残った作品を挙げていきましょう。

『下剋嬢』(倉島圭)
 というわけでタイトルから奇妙な新連載は、現代のOLが戦国時代にタイムスリップして……という趣向ですが、実に本誌だけで4作目のタイムスリップもの。もちろん本誌だけでなく、よそでもタイムスリップ戦国時代ものは花盛りなわけですが、本作は冒頭からその辺りを徹底的にネタにしてしまう毒吐きっぷりが実に楽しい。
 そう、本作はタイムスリップものといってもギャグ漫画。徹底的にメタでブラックな笑いがポンポンとテンポよく繰り出されます。

 しかしタイムスリップものといえば、未来(現代)の知識で難題を解決ですとか、歴史を変える(変えない)ために奔走というのが基本パターンですが、本作の主人公・ゆいは、それとは無関係に争いの火種を煽りまくるというとんでもないキャラで、彼女に出くわした若き日の武田信玄が可哀想になるほどであります。

 この先も信玄につきまとうのか、それとも他家に行くのかはわかりませんが、いやはやある意味斬新なタイムスリップものだけに、この先も徹底的に我が道を行っていただきたいものです。


『バイラリン 真田幸村伝』(かわのいちろう)
 前回、いわゆる「第二次上田合戦」において、秘策・奇策でもって徳川の本隊を散々に悩ませてみせた幸村。戦いを避けることなど頭になく、とにかく少しでも戦いの中で舞い踊りたいと、まことに始末に悪い彼のバトルマニアぶりは留まるところを知らず……

 と言いたいところですが、しかし初登場の徳川家康は彼のさらに上を行く「暗黒星」とも称される怪人。
 戦いの常識からすれば本隊が遅れた状態で勝利はおろか開戦もおぼつかぬはずが、しかし関ヶ原の戦の結末はご存じの通り……と、テンション上がりまくりであった昌幸・幸村親子の凹みぶりは、まことに申し訳ないことながら、愉快ですらありました。

 上には上がいることを思い知らされ、戦うこともできず九度山に押し込められることとなった幸村――しかしこれからが幸村の舞の本番でありましょう。
 少しの間もおとなしくしていられなさそうな幸村が、この先何を見せてくれるのか……破格の幸村伝に期待いたします。


『セキガハラ』(長谷川哲也)
 さて、こちらはまだ決戦への道はもう少しかかりそうな案配の長谷川版関ヶ原、黒田如水の思惑のまま家康をはじめとする諸将(のクローン含む)が動かされる中、いよいよ三成と仲間たちが動き始める……

 というわけで、その口火を切るのは直江兼続。家康(の背後の如水)が大坂で建造する謎の黒ノ巣タワーに対し、兼続の難癖いや挑発が炸裂いたします。
 これに怒った家康は上杉攻めの大号令……ということは、これが本作における直江状なのか、と同じ号の岡村賢二『直江兼続 信義の執政』がまさに直江状の件だっただけにそのギャップに驚いてしまったのですが、一つの事件を様々に異なる視点から楽しめるのも歴史漫画誌の楽しさでしょう(……というレベルの異なりようではないのはさておき)。

 しかし気になるのは、前回突然登場したお玉――言うまでもなく細川ガラシャ。三成の忍・峠天士郎を散々翻弄した彼女ですが、その言葉の中に気になる言葉が……
 もしや本作は○○○ものだったかと、決戦間際まで来て、さらにとんでもない要素が投入されてきた感があります。


 長くなりますので次回に続きます。


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