『戦国武将列伝』2015年10月号(その二) 第六天魔王からラプトルまで!?
リイド社『戦国武将列伝』10月号の紹介の続きであります。第六天魔王からラプトルまで、今回も戦国ものの枠を超えた戦国もののオンパレードであります。
『孔雀王 戦国転生』(荻野真)
突如現れた明智光秀に操られるように、孔雀と決別した信長。ここに来て孔雀と信長、本作の主人公というべき二人が別々のルートに行くことになりましたが……
しかしそれが作用したか、今回描かれるのは、孔雀が戦国時代に転生した時のエピソードであります。
既に物語がここまで進んでしまうと、そういえばまだ描かれていなかったかという気もいたしますが、もちろん気になるのは言うまでもありません(ここでいう「転生」が文字通りの転生なのか、言葉の綾なのかは相変わらず不明なのですが……)
その一方で気になるのは、この戦いの背後に存在するという第六天魔王の奇怪な姿で……史実での信長と第六天魔王の「関係」は言うまでもありませんが、さて本作においてそれがどう料理されるか。
もう一人の孔雀王とも言うべき信長の動向に全てがかかっているのは間違いありますまい。
『戦国自衛隊』(森秀樹&半村良)
自分たちがタイムスリップしたことに意味があると信じ、そして歴史の反作用を期待して本能寺で信長を助けた戦国自衛隊。
しかしそれが完全に裏目に出た形となり、狂気の曼荼羅親父と化した信長に追いつめられるばかりの戦国自衛隊ですが……
と重苦しい展開が続く中で、なんと今回の物語の中心となるのは恐竜ラプトル。現在公開中の『ジュラシック・ワールド』でも大活躍の恐竜ですが、しかし実は今回急に登場したわけでなく、以前から幾度か登場し、そのたびにこちらの目を疑わせてきた存在であります。
その理由の如何はともかく、文字通り弱肉強食の世界からやってきたラプトルにとって、戦国時代はある意味自分のいた時代と大差のない戦いの世界。しかし、そんな中で強大な力を持ちつつも、それを自らのために用いない戦国自衛隊の存在が、彼(?)の中にある変化を生じさせるというのが実に面白い。
その一方で、およそ意味などありそうにないタイムスリップをしてきたラプトルの存在から、自分たちのタイムスリップにも意味はないのだと戦国自衛隊が愕然とするという皮肉な展開もいい。
内容的にも絵的にもインパクトありすぎる展開も面白く……一気に動きが出てきたという印象であります。
『鬼切丸伝』(楠桂)
鬼を巡り時代と場所を次々と変えて描かれる本作、今回は長宗我部元親の時代の土佐が舞台となります。
これまで鬼が現れなかったという土佐。しかしその土佐を収める元親は、疑心暗鬼に駆られるまま、次々と周囲を粛正する元親。その刃は、犬神を操るという犬神使いたちの一族にまで向けられるのですが、ただ一人生き残った少女・なつが元親の前に現れ……
となればこの先の展開も予想できるような気がいたしますが、さにあらず。元親により粛正された七人の武士の怨念が……という、有名なあの伝説に絡めてくるのも面白いのですが、なつの「これからこの土地にも鬼が出るがよ」という台詞の見事なひねりっぷりは、まさに本作なればこその仕掛けでありましょう。
その一方で、元親や彼の暴走の一端となった側近・久武親直の描写に食い足りないものも感じるのですが……
その他、あさりよしとおの『戦国機甲伝クニトリ』は、桶狭間の戦を描いた第三回にして、戦国時代をモチーフに「リアル」なロボットの運用に基づく戦闘を見せるという本作ならではの独自性がようやく見えてきた印象。
もう一つ本作の特徴といえば、登場人物が全て女性ということですが、こちらは今のところ必然性がわからず……さて。
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