« 相場英雄『御用船帰還せず』 不可能に挑んだ四人のプロフェッショナルたち | トップページ | 熊谷カズヒロ『モンテ・クリスト』第4巻 待ち、しかし希望した末にあったもの »

2015.10.26

『コンクリート・レボルティオ 超人幻想』 第4話「日本『怪獣』史 前篇」

 グロスオーゲンが地球を去ってから一月、日本では各地で怪獣の出現が相次ぎ、それに対するヒーローの活躍も目立つようになっていた。そんなある日、町で育てられている小型怪獣ガゴンの調査に向かった爾朗と輝子は、怪獣専門のラジオ番組を作るという日本怪獣電波社の青年・松本と出会うのだが……

 前回まででメインキャラクターも出そろった感のある本作ですが、それを踏まえてか、今回は一気にアクセルを踏み込んだ感のある、盛りだくさんにもほどがあるエピソード。
 何しろアバンタイトルから、神化14年、17年、29年と目まぐるしく時代が飛ぶ展開。そこで描かれるのは、人外魔境に現れた巨大な類人猿と、戦争の傷も生々しい東京に現れた(しかし姿の見えぬ)巨大な存在――そう、今回のモチーフは怪獣であります。

 第1話で「さらば」となった巨大超人グロスオーゲン(冒頭では第1話以前、グロスオーゲンが初登場した際のエピソードも登場。ここで「科学ではなくむしろ魔法が必要」という台詞が出るのにはニヤリ)。
 しかし超人が去っても怪獣の出現は相次ぎ、これを迎え撃つため、様々な超人が――人間衛星アースちゃん、ギガンダー7、その他未知の超人たち――が登場することとなります。
(この辺り、単にバラエティに富むだけでなく、どこかで見たことのあるキャラがこんなところで、というクロスオーバーの楽しさが横溢しているのも楽しい)

 超人たちの報道は法によって規制される一方、怪獣の方は対象外なのか普通に(?)報道されることもあり、いつの間にか世は怪獣ブームに。そんな世相を反映してか、怪獣専門のラジオ番組を企画する日本電波、あいや日本怪獣電波社なる会社までもが登場することに……

 が、そんな状況に疑問を抱くのが、前回登場した超人犯罪専門刑事の柴来人であります。鑑識の結果、出現する怪獣たちが共通の遺伝子を持つことが判明、何者かが怪獣を養殖しているのではないか、そして怪獣を超人に戦わせることで、超人のイメージアップをはかっているのではないか……超人憎しから出た陰謀論のような推理が、しかし正鵠を得ていたとは!

 このマッチポンプを企んだのは、こともあろうに超人課の秋田課長(その正体はエクトプラズム状の宇宙人!?)たち。そして怪獣を養殖していたのは、日本怪獣電波社……
 後者のみを知らされ、信じられぬ想いで電波社に急いだ爾朗が見たものは、地下に眠る何体もの怪獣たち。そしてその一体・ビッグガゴンに掴まれた爾朗が思わぬ力を見せることとなります。


 前後編の前編故か(いや今回は今回でそれなりにキリはいいのですが)、とにかく冒頭からキャラとガジェットと謎が山盛りの今回。もう元ネタを追いかける気力もほとんどなくなっていますが、それはさておき。
 そんな今回で印象に残るのは、「怪獣」という存在の意味に対する問いかけでありましょう。何故怪獣は問答無用に倒されるのか、そしてそもそも怪獣とは何者なのか……

 これまで、様々な超人に対して同情的な態度を取ってきた爾朗。しかしそんな彼も怪獣に対しては極めて冷淡に、明確に彼らを敵視し、倒そうとします。そんな彼の怪獣観は、一種の災害――台風や地震と同じ存在であり、人間とは相容れない存在、外を及ぼす前に滅ぼすべき存在なのです。
 それに対し、日本怪獣電波社の社主・松本青年は、怪獣は人間が、人間の行いが生み出した存在であり、共存を目指すべきだと主張します。なるほど、公害を由来とする怪獣も少なくないことを考えれば、それも一理あるでしょう。

 そのどちらが正しいか、それは今回は語られませんが、しかしいずれにせよ、怪獣は明確な「敵」として設定しやすいのは事実。人にはそれぞれ正義がある……というのは本作でこれまでも描かれてきたことですが、それでは相手が人でなく、巨大な怪獣であったとすれば、そこに正義を見出すことは難しい、というのは確かに真理でありましょう。
 しかしその一方で、その怪獣が小さく可愛らしい存在であったとしたら……今回登場する快獣ガゴンのように。

 これまで、相反する立場・味方を通じ、様々な超人の在り方を問いかけ、見つめ直してきた本作。そのスタンスは、怪獣に対しても同じであり、怪獣もまた超人……というのはさすがに気が早い結論かとは思いますが。

 そしてそんなテーマ性だけでなく、よりストレートに物語内容が気になりすぎる次回。人間を自称していた爾朗が見せた力の正体はゴジラなのかネッシーなのか、そして姿を偽って怪獣養殖に手を染めていた(ように見える)笑美の真意は……
 これまで以上に、次回が気になって気になって仕方ないのであります。


『コンクリート・レボルティオ 超人幻想』第1巻(バンダイビジュアル BDソフト) Amazon
コンクリート・レボルティオ~超人幻想~ 第1巻 (特装限定版) [Blu-ray]


関連記事
 會川昇『超人幻想 神化三六年』 超人を求める人々の物語
 『コンクリート・レボルティオ 超人幻想』 第1話「東京の魔女」
 『コンクリート・レボルティオ 超人幻想』 第2話「『黒い霧』の中で」
 『コンクリート・レボルティオ 超人幻想』 第3話「鉄骨のひと」

|

« 相場英雄『御用船帰還せず』 不可能に挑んだ四人のプロフェッショナルたち | トップページ | 熊谷カズヒロ『モンテ・クリスト』第4巻 待ち、しかし希望した末にあったもの »

コメント

今回は結構マニアの私でも元ネタ全部わからない話でしたね。さすがは元特撮雑誌『宇宙船』の編集者で、メタルヒーローシリーズ・ウルトラシリーズ・スーパー戦隊シリーズ・仮面ライダーシリーズと日本の特撮4大シリーズすべてに参加している會川昇さんの作品です(笑)。

投稿: ジャラル | 2015.10.28 23:06

ジャラル様:
僕ァもう元ネタ追いかけるの半ばあきらめました

投稿: 三田主水 | 2015.10.29 23:43

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/13655/62555929

この記事へのトラックバック一覧です: 『コンクリート・レボルティオ 超人幻想』 第4話「日本『怪獣』史 前篇」:

« 相場英雄『御用船帰還せず』 不可能に挑んだ四人のプロフェッショナルたち | トップページ | 熊谷カズヒロ『モンテ・クリスト』第4巻 待ち、しかし希望した末にあったもの »