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2015.11.25

町井登志夫『倭国本土決戦 諸葛孔明対卑弥呼』(その一) 13年ぶり、智謀と智謀の激突再び

 八門遁甲を操る天才軍師・諸葛孔明と、魏に招かれた鬼道の遣い手・卑弥呼の対決はなおも続く。一進一退の戦いの末に孔明の北伐を阻み、倭国に帰還した卑弥呼だが、今度は孔明が海を越え、邪馬台国と対立する諸国を操り、卑弥呼を苦しめる。果たして戦いの果てに二人がそれぞれ求めるものとは……

 あの伝説の作品の続編であります。本作に先駆けて前作が文庫化されたとはいえ、前作初版は13年前……しかしその前作にも負けぬインパクトの物語が今回も――そして舞台を移して展開されることになります。そう、今回は倭国を舞台に、諸葛孔明と卑弥呼が激突するのであります。

 その神算鬼謀を以て、赤壁の戦いで魏を大敗させた軍師・諸葛孔明。彼を打倒するべく、魏が招いた鬼道の遣い手こそは、海の向こうの倭で頭角を現す邪馬台国の卑弥呼であった……!
 という、意外にもほどがあるマッチメイクを、時代に切り込む目の確かさと、丹念かつ時にエキセントリックな描写で説得力を以て描いてみせた『諸葛孔明対卑弥呼』。

 孔明の第一次北伐の結末――「泣いて馬謖を斬る」で知られる街亭の戦いまでが描かれた前作。卑弥呼の策により、馬謖を斬らされた孔明ですが、その彼が再び北伐を試みた陳倉の戦いから、本作は始まります。
 堅城ではあるものの、兵力はごくわずかの陳倉城に殺到する数万の孔明の軍。数々の攻城兵器と奇策を要する孔明の前に風前の灯火となった陳倉城に、卑弥呼と、常に彼女に巻き添えを食わされる奴国の王子・難升米も居合わせていたのですが……

 というわけで、時系列的にも前作の直後から始まる本作。前半ではこの第二次北伐の陳倉の戦い、そして孔明が木牛流馬を使用した第四次北伐までが描かれます。
 前作ではある意味ファーストコンタクトで終わった孔明と卑弥呼の対決ですが、今回はこれでもかと冒頭から全開で両者の智謀が激突、13年のブランクなど感じる間もなく、一気に作品世界に引き込まれることになります。

 が、これはあくまでも前半。それでは後半は……と言えば、今度は孔明が歴史の隙間を縫って倭国に襲来! ようやく帰国した卑弥呼の邪馬台国に対し、奴国、そして狗奴国を背後から動かし、孔明が北伐を妨害されたリベンジを企むのであります。
 完全にアウェーであった大陸と異なり今度は倭国が舞台と、完全に卑弥呼有利にも思えますが、しかし当時の倭国は四分五裂、邪馬台国が台頭してきたとはいえ、何かの拍子に再び混沌に陥りかねない状況。そこに絶妙の(?)タイミングで孔明が爆弾を投じていくのですからたまりません。

 国をバックにした卑弥呼と、ほとんど単身の孔明と、前半とは逆の立場で、再び二人の戦いが描かれることになるこの後半。前半に比べると戦の規模では及びませんが、知恵と知恵の応酬という点では、後半の方に軍配が上がるやに感じられます。

 そして……何よりも、後半にこそ、本作の、本シリーズの真の狙いがあると感じられます。それは――
 と、長くなりますので次回に続きます。


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