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2015.11.22

近藤るるる『ガーゴイル』第4巻 再びの決戦の果ての驚き

 異能の戦士の集団・新撰組が、京で同じく異能の集団たちと死闘を繰り広げる『ガーゴイル』の第4巻、第一部完結編であります。「近藤勇」の異変に周囲も徐々に気づきつつある中、宿敵・八瀬童子との決戦に向かう新撰組ですが、そこで彼らを待ち受けていたものは……

 土方の鬼使い、沖田の未来視、斎藤の再生、永倉の凍結etc.……それぞれが一人一芸とも言うべき特殊能力を持つ戦士の集団であった新撰組。松平容保の命の下、京を守るべく戦う彼らは、帝の輿を守るはずの八瀬童子が八大金剛の襲撃を受け、死闘を繰り広げることとなります。

 傷を負いながらも八大金剛を退けていく新撰組ですが、しかし彼らは既に大きすぎる犠牲を払っていました。そう、池田屋において、局長たる近藤勇という犠牲を……
 今は深雪太夫がその術を以て近藤の姿を取っているものの、真実を知るのは土方と沖田のみ。しかしこの巻の冒頭で、ついに松平容保が「近藤勇」の正体に気づくこととなります。

 実は人の真の姿を見破る力を持っていた容保。その彼にしてみれば、深雪太夫の術を破り、姿を見顕すことは容易い……のでありますが、しかし真実を知った容保は、意外な顔を見せることとなります。
 そして彼もまた真実を語ります。後醍醐帝以来の帝の宸翰(直筆の文書)を得ていた容保。彼は六百万両の黄金を生み出すという兌法を守ることを近藤に命じ、そして近藤もただ一人、ある男と対決していたのだと。ある男――「離」の門家・三条実美と。

 そしてほどなくして、八瀬童子のうち、闘争を好まぬ一派からの内通により、八瀬童子の主戦派との決戦の機会を掴んだ新撰組。
 その地――天王山において、八瀬童子残りの八大金剛三人を包囲する土方たちですが、しかし時同じくして長州が決起、土方は新撰組の本隊をそちらに振り向け、自分を含めごくわずかな手勢のみを残し、八大金剛との決戦に臨みます。

 かくて、土方・井上・谷の三隊士と、死者の経験を我が物とする白蓮坊、超人的な拳法体術を使う巨鵬、巨大な二頭の狗を操る松王丸、三対三の決戦の幕が……


 というわけで、この巻でも繰り広げられる新撰組対八瀬童子の異能バトル。土方は何度目かの登板となりますが、井上と谷は覚えている限りではこれが初バトル。
 あまりに渋すぎる言動を見せる井上、そしてやはりこの能力だったか、という印象の谷と、どちらもそれぞれの初お目見えとしては申し分ない一戦であります(能力的にかませ的立ち位置になってしまった八瀬童子はご愁傷様ですが……)


 が、ここから物語は急展開。八瀬童子との戦いに続いて出現するは、近藤の仇たる三条実美と、彼と行動を共にする真木和泉ら、やはり異能の者たち。
 天王山を舞台に、真の決戦の幕が――

 というところで第一部完となのですが、正直に申し上げれば、「またか!」という言葉に尽きます。

 以前にも述べたかと思いますが、本作『ガーゴイル』は、同じ原作者による『サンクチュアリ』のリメイク、リブートとも言うべき作品。どちらも異能の新撰組が、八瀬童子をはじめとする異能者たちと、京に眠る秘密を巡り激突するのですが……
 『サンクチュアリ』のラストも、本作と同じ場所で、同じような形で結末を迎えたのであります。いや、個人的に言えば、前作の方がより盛り上がる形で(その点は、前作の方が敵勢力が多かったということもありますが)

 新撰組が異能者の集団であり、彼らが戦う相手もまた異能者だった、というコロンブスの卵的にして、最高に燃える設定の『サンクチュアリ』と『ガーゴイル』。
 その前作が半ばにして終わった時、どれだけ残念であったか、そして装い新たに本作が本作が始まった時に、どれだけ胸躍らせたことか。その結末がこれとは――

 思うところは色々とありますが、「驚いた」というのが第一印象であります。
 さすがに三回目があるかといえば……


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