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2015.12.30

このブログの2015年を振り返って(上半期篇)

 形式こそブログではあるものの、速報性や適時性といったものに、当ブログはほとんど重きを置いていません。それでも振り返ってみれば、それなりにその時ならではのトピックを扱っていることもあり、それをまとめてみるのも面白いかな……というわけで2015年を振り返ってみたいと思います。

 基本的には月ごとに、その月特有のトピックと、その月に紹介した作品の中でも特に印象に残った作品を挙げたいと思います。後者については、紹介時期からかなり以前に発表された作品も少なくないのですが、それについても敢えて含めています。


1月
 通し狂言『南総里見八犬伝』を鑑賞したのが、一番正月らしいイベント。歌舞伎や古典芸能はしばらく取り上げていませんでしたが、また増やしていきたいところです。
通し狂言『南総里見八犬伝』 通しで観る八犬伝の楽しさ、難しさ

 また、この2015年を通じて個性的な作品を次々とリリースしてきた白泉社招き猫文庫において、あかほり悟の時代小説第一作が刊行されたのは、やはり印象に残りました。
『御用絵師一丸』 絵師の裏の顔と、「今」と向き合う人々と


 印象に残ったのは以下の二作品です。
『忍者物語』(その一) 史料に残る忍者、史料に残らぬ「真実」
『忍者物語』(その二) 忍者という名の人間たちの姿
『ゴールデンカムイ』第1巻 開幕、蝦夷地の黄金争奪戦!


2月
 2月は月が短いせいもあり、さまで目立ったものはありませんが、漫画版『夢源氏剣祭文』がwebコミックで再開したのは嬉しい知らせでした。しかし本作、二度の中断を乗り越えてようやく完結したにも関わらず単行本続巻の予定なしという状態。しかも現在掲載されているのも第1話と最終話のみというのがさらに残念。webコミックが増えている一方で、こうしたケースも増えるのでしょう……
漫画版『夢源氏剣祭文』連載再開!

 印象に残った作品は、以下の二作品。前者は作者の久々の作品ですが、『この時代小説がすごい!』でもランキング入りしたのは本当に嬉しい出来事でした。
『未来記の番人』 予言の書争奪戦の中に浮かぶ救いの姿
『うわん 流れ医師と黒魔の影』 彼女の善き心と医者であることの意味


3月
 3月も目立った出来事はありませんでしたが、個人的に嬉しかったのは、雑誌掲載以来、幻の作品となっていた『BURNING HELL』の単行本化。実に7年越しの単行本化ですが、待ち続けていればこういうこともあります。
『BURNING HELL 神の国』 地獄と人間を描く二つの物語

 またこの月は『この時代小説』で見事ランキング一位を飾った『妖草師 人斬り草』も登場。趣味で生け花(の真似事)をしていることもあり、本作で描かれる生け花とは何か、という言葉には大いに共感しました。
『妖草師 人斬り草』(その一) 奇怪なる妖草との対決、ふたたび
『妖草師 人斬り草』(その二) 人の、この世界の美しきものを求めて

 印象に残った作品は以下の漫画二作。
『アンゴルモア 元寇合戦記』第1巻 「戦争」に埋もれぬ主人公の戦い始まる
『一の食卓』第1巻 陽の料理人見習いと陰の密偵と


4月
 個人的に大事件だったのは、會川昇の(おそらく)初の時代伝奇小説『南総怪異八犬獣』発表。短編ですが、題材が八犬伝な上に実に作者らしい趣向と内容に大いに満足しました。
八犬伝特集その十七 會川昇『南総怪異八犬獣』

 印象に残った作品はかなり多く、絞っても四作品。特に『でんでら国』は個人的に2015年のベストです。もっと読まれるべき作品。
『でんでら国』(その一) 痛快なる老人vs侍の攻防戦
『でんでら国』(その二) 奇想と反骨と希望の物語
芝村凉也『素浪人半四郎百鬼夜行 零 狐嫁の列』 怪異と共に歩む青春記
矢野隆『覇王の贄』 二重のバトルが描き出す信長とその時代
仲町六絵『南都あやかし帖 君よ知るや、ファールスの地』 室町の混沌と豊穣を行く青年妖術師


5月
 5月は、自分でも危うく忘れるところでしたがこのブログが毎日連続更新で10周年。しかしもちろん、通過点に過ぎないのです。
ブログ連続更新10周年を迎えました

 そして久々の商業原稿としては、『ランティエ』で平谷美樹『水滸伝』の解説記事を担当。作者も題材も大大ファンなだけに。大いに気合いが入りました。『水滸伝』も『この時代小説』のランキングが良かっただけに、続刊を期待しています。
『ランティエ』6月号で平谷美樹『水滸伝 1 九紋竜の兄妹』関連の記事を担当しました

 もう一つ、朝松健の一休宗純ものが帰ってきたのも、まさしくこのブログで取り上げるべきニュースでした。
朝松健『かはほり検校 一休どくろ譚』 一休宗純、再び暗き夜を行く

 印象に残った作品は、ちょっと変化球ですが以下の二作品。こうした作品も忘れずチェックしていきたいと思っています。
『なないろ金平糖 いろりの事件帖』(その一) 超能力探偵のフェアなミステリ
『なないろ金平糖 いろりの事件帖』(その二) 彼女の最後のチカラ
竹下文子『酒天童子』 理想の武士、理想の「大人」としての頼光


6月
 6月は大きな出来事はなし。滅多に自分語りをしない私が自分の話に絡めた以下の記事が珍しかったかもしれません。
會川昇『神化三六年のドゥマ』(前編) 伝奇的なる世界が描き出す現実

 印象に残った作品はぐっと増えて以下の5作品。もっとも、『エンバーミング』は何故このタイミングなのか、我ながらお恥ずかしいことです。
長谷川卓『嶽神伝 孤猿』上巻 激突、生の達人vs殺人のプロ

長谷川卓『嶽神伝 孤猿』下巻 「山」のような男の名
吉川永青『闘鬼 斎藤一』 闘いの中に己の生を貫く
ガイ・アダムス『シャーロック・ホームズ 恐怖! 獣人モロー軍団』 今度の世界はSF!?
和月伸宏『エンバーミング -THE ANOTHER TALE OF FRANKENSTEIN-』第10巻 絶望と狂気の先にあったもの


 思っていた以上に長くなりましたが、下半期は次回に。


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