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2016.02.10

『牙狼 紅蓮ノ月』 第17話『兇悪』

 盗みに入った際、幾人もの炎羅と化した貴族を斬る保輔。一方、保輔を捕らえるため、施しを受けた民に暴力を振るおうとした四条公任は、止めようとした保輔の兄・保昌をも共犯として捕らえんとする。炎羅と化した貴族たちと公任の関係に気付いた保輔と保昌は、思い切った手に出ることに……

 今回は藤原保輔=袴垂=白蓮騎士斬牙の主役回。雷吼は冒頭に少々顔を出すのみであります。

 義賊としてのお勤めの最中、屋敷の主が出世コースから外れた不満から炎羅と化して住人を喰らっている場に出くわした保輔。あっさりとこれを退ける保輔ですが、同様のケースは何件も起きている様子であります。
 しかし保輔を取り締まる立場にあるのは兄の保昌。雷吼のところで保輔と出会った彼は、弟でも容赦はしないという態度を示しますが、しかしこの二人、直接的に金品を撒いて助けるか、治安を良くして間接的に助けるかという違いはあれ、どちらも民のためを思っているという似た者なのでした。

 と、兄弟がなんだかんだとやり合っている間に焦っていたのは検非違使別当の四条公任。保輔から施しを受けた民たちに拷問まがいの暴力を振るって口を割らせようとするのですが、保昌に阻まれます。
 そして、(雷吼に指摘された際にはスルーしていたものの)さすがに貴族の炎羅化が気になった保輔は式部に調査を依頼、貴族たちが皆、公任に睨まれて出世から遠ざけられたことを知るのでした。そしてその公任に近づいていたのは道満――例によって煽りを入れる道満によって、公任はおかしな野心に火が付いたようであります。

 そしてついに口を割らせるために民に矢まで向けるようになった公任。再び止めに入った保昌は、行方不明になった(=斬牙に斬られた)貴族たちと公任の関係を指摘しますが、それが悪かったか、口封じに盗賊と同腹(まあ、間違えてはいません)の者として追われ、図らずも保輔に助けられるのでした。
 事ここに至っては、公任の不正を暴くしかないと、証拠があるという検非違使庁に忍び込んだ保昌と保輔。何故か警備が薄く、簡単に忍び込んだ二人が、隠し部屋で見つけたものは――

 と、警備が薄かった理由は、その晩に道長が(酔狂にも)開いた観月の宴。その場に飛び込んできた保昌と保輔は、同席していた公任の命で討たれかかりますが、それを止めたのは道長でありました。
 そして保昌が道長に差し出したのは、公任によって握りつぶされた、彼の非道を告発する書状。さらに隠し部屋には、その際に彼によって殺された者たちの遺品が山のように……

 事が全て露見し、やはりと言うべきか炎羅と化した公任。さすがというべきか、二刀を手にした鎧武者さながらの姿は、なかなかの強豪、さらに紅蓮ノ月の力で足を四本に増やすと、皆を逃がして単身挑んできた保輔=斬牙に襲いかかります。……が、あっさりやられるのですが。

 公任の後任は頼信が当たることとなり、以前よりも手強くなった検非違使庁を相手に、今日も保輔は元気に盗賊を続けるのでありました(そしてそれを見逃す保昌)。


 というわけで、第一話から登場していたわりには微妙に印象の薄かった公任が今回で退場。渡辺綱、賀茂保憲に続いて実在人物が炎羅化して殺されてしまったわけですが……まあ、史実の公任は確かに検非違使別当であったものの、むしろ文名が高く、政治家・法律家の性格が強い人物だったので、モデルだと思うべきなのでしょう。

 が、いただけないのは、その悪事が露見する過程。まあ、隠してあったのが普段であれば厳重に警戒されているであろう検非違使庁の中ですし、元々そういう性格であったと言えばそれまでですが、自分の有罪の証拠をごっそり残していたというのは、あまりにもこう、都合がいいというか……

 まあ、公任の退場を除けば、主人公もほとんど登場せず、あまり大筋には影響の少なそうな回でしたが、一つだけ気になったのは、道満(の顔の傷)と道長の間に因縁があるらしいという描写ですが……
 基本的に煽りを担当しつつ、その合間に意味ありげな描写を積み重ねてきた道満ですが、そろそろ彼の真の目的が描かれるのでありましょうか。


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関連サイト
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