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2016.03.24

長谷川明『戦国外道伝 ローカ=アローカ』第1巻 激突、地獄を生む城vs地獄を喰らう者

 武田信玄と上杉謙信の軍勢が激突する川中島。しかしそこに突如現れた魔界の城・纐纈城から現れた奇怪な軍勢により、兵たちは次々と無惨に屠られていく。その魔手が望月盛時の小姓・五郎丸に迫った時、戦場に飄然と現れた男が、魔界の兵を容易く倒す。その男の名は加藤段蔵、求職中の忍びだった……

 人の生き血を絞る魔の城、纐纈城――その存在は、宇治拾遺物語に語られ、そして国枝史郎の不朽の名作『神州纐纈城』で伝奇愛好家に知られるところですが……ここにその纐纈城が復活しました。

 時は戦国、所は川中島……武田と上杉の激突がまさに始まった時、戦場に現れたのは、奇怪な兵の群れ。絡繰り仕掛けの如き人ならざる中身を持つその兵たちこそは、この戦国に現れた魔界の城・纐纈城の尖兵でありました。

 その纐纈城の兵に、武田の兵が次々と捕らわれ、引きずり込まれていく中、そこに纐纈城を恐れるでもなくふらりと現れた一人の男。自らの目を端切れで目隠ししたその男――加藤段蔵は、人の身では到底敵わぬ纐纈兵を軽々と倒し、しかもその中身を飲み干してしまうのですが……


 いやはや、纐纈城に対するに、加藤段蔵を持ってくるとは!
 加藤段蔵、またの名を飛び加藤は、戦国の世にその人ありと知られた凄腕の忍び。それも、主としてその妖術師めいた言動で知られた妖人であれば、纐纈城を相手にするに不足はなしでしょう。

 しかも本作の段蔵は、半ば魔界の者――幼い頃にこの世の地獄を見て育つうちに、やがてその目は魔界を見るようになったという凄まじい男。
 今に伝わる段蔵の怪しの術の一つに、頭から牛を飲み込んでしまう呑牛の術(これ自体はまあ、中国伝来のエピソードですが)というものがありますが、本作の段蔵は、牛は牛でも地獄の牛頭を飲み込む! というアレンジには、大いに痺れさせられました。


 さてその段蔵、その奇怪な術と体とは裏腹に、本人はどこか抜けているのではないかというほど呑気な男で、川中島に現れた際も就職中と嘯くほど。その怪しさが祟って上杉を追われた彼は、武田にアプローチをかけるのでありました。
 そんな彼に凄まじい試しをかけた末に採用した信玄の意図は、纐纈城攻略。この世ならぬ魔界の城を攻略するために、自分に負けず劣らずの外道者を集めることを命じられた段蔵は、まず死体を漁って歩く少女・火車鬼に目を付けて……


 と、この第1巻は、まだまだプロローグの印象。未だ謎多い纐纈城の恐怖と、それに抗する一番手たる段蔵の紹介編という趣があります。

 しかし物語の幕は開きました。これから先、纐纈城を陥するために、いずれ劣らぬ魔人が、外道者たちが集められることでありましょう。
 地獄を生み出す城と、地獄を喰らう者の激突。これを楽しみというのはいささか躊躇われもしますが……いや、やはり楽しみと言うほかない地獄絵図の幕開けであります。


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