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2016.03.11

『戦国武将列伝』2016年4月号(前編) 決戦、二つの大戦

 早いもので年が明けてもう二月が過ぎました。二月すなわち偶数月の末ということは、『戦国武将列伝』の発売日が来たということ。今号は柴門ふみという、意外なゲストが登場ですが、レギュラー連載陣も相変わらず面白い。今回も、印象に残った作品を一つずつ紹介しましょう。

『焔色のまんだら』(下元ちえ)
 連載第二回の今回は、長谷川等「白」が等「伯」になるまでの物語。前回、焔に包まれゆく安土城で出会った老人――千宗易の紹介で大徳寺の門の壁画を請け負った等白は、しかし塔頭の襖に強く惹かれ、取り憑かれたような状態となってしまうのですが……

 人が道を極める時に傷害となるであろう「煩悩」。その煩悩に憑かれてしまった場合、どうすればよいのか……その答えを破天荒なやり方で提示する等白の行動も痛快ですが、しかしやはり何といっても強烈なのは、そこから生まれたものでありましょう。
 まさに「絵」――それもフィクションの「絵」でなければ示せないそれは強く強く印象に残ります。

 そしてラストには再びあの天才・狩野永徳が登場。宗易がたじろぐほどの存在感を示す彼と等伯の再度の対面が楽しみになります。


『セキガハラ』(長谷川哲也)
 ほとんどなし崩し的に、それもこの上もなく異常な形で始まった関ヶ原の戦。数々の武将・兵士たちが異形の怪物・出門頭に変えられていく中、諸悪の根元たる黒田如水を討つべく戦場を行く三成の前に現れたのは……

 というわけで、いきなり加藤清正vs黒田長政というドリームカードから始まる今回。己の思力で虎そのものと化した清正と、相手の思力を喰らう長政、二人の対決の行方は……あ、なるほどこうなるのか、という意外かつ納得の展開から、史実では見られなかった布陣に繋がっていくのが何とも楽しいのであります。

 しかし今回はまだまだ盛り上がります。猛威を振るう東軍(と言って良いものか?)についにあの男もつき、追いつめられた三成に与えられた逆転の鍵。そして彼を行かせるため、西軍が、彼の友たちが結集し、家康&四天王と激突という展開は、やはり最高に盛り上がります。
 地に魔物が蠢き、天にドラゴンが舞う、もはや何の戦いかわからなくなってきた関ヶ原……しかしそれでこそ、でありましょう。


『バイラリン』(かわのいちろう)
 あらゆる手段でもって天下に覇を唱えんとする家康に対し、幸村をはじめとする死に場所を求めたろくでなしが大坂城に集結、いよいよ始まった大坂冬の陣ですが……しかしあっさりと終結。そしてつかの間の和平もあっという間に破れ、夏の陣が始まることになります。

 いよいよ本作もクライマックス……ということになりますが、しかし今回は『バイラリン』というよりも、前作『後藤又兵衛 黒田官兵衛に最も愛された男』完結編とも言うべき印象。
 幸村とともに、そして彼とはまた別の形で死に花を咲かせようとした彼の最後の大戦が今回描かれることになるのですが……いやはや、この上ない曲者である本作の幸村も、今回ばかりは又兵衛に喰われたと言うべきでしょう。

 そしてそれは前作読者としてはむしろ望むところ。思わぬ延長戦(?)に感謝であります。


 以下、長くなりますので続きは明日。


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