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2016.04.11

たみ『クロボーズ』 第二撃「異郷の友は色々不詳」

 たみ&富沢義彦によるwebコミック『クロボーズ』の第二話であります。突如戦国時代にタイムスリップした現代の黒人ボクサー、ヤーボ・モートンが、信長のもとで意外な運命を背負うことになるという本作、この回では、ヤーボに並ぶ重要キャラであろう、ある歴史上の人物が意外な形で登場いたします。

 念願だったヘビー級のチャンピオンベルトを手にした次の瞬間、いかなる力の作用によるものか、時間も空間も遠く離れた戦国時代の日本、しかも合戦の真っ只中にタイムスリップしたヤーボ。
 訳も分からぬまま、襲いかかる雑兵を蹴散らしたヤーボは、宣教師ヴァリニャーノと出会い、彼に導かれるままに信長の前に引き出されるのですが……

 という第一話に引き続いての今回は、初めて黒人を見て興味を抱く信長とヤーボのやり取りが展開。ヤーボの肌を、墨を塗っているのではないか、洗ってみせよというのは、現代から見れば酷い話ではありますが、実はこれは史実。
 そこでヤーボは風呂に入れられることになるのですが、ここで意外なキャラクターの意外な設定が明らかになることになります。

 ヤーボの体を洗い、検分することを買って出た人物、それは羽柴秀吉。そして本作の秀吉は、実は……女!
 第一話の扉絵で、ヤーボの傍らに肌も露わな女性が描かれており、これがヒロインなのかな、と思っていたところ、まさかそれが秀吉だったとは。

 いやはや、女体化戦国武将というのは既に珍しくはありませんが、秀吉というのは相当に珍しい、というより私は初めて見ました。
 秀吉に女体化の例がほとんどないというのは、やはり史実での女好きのイメージが大きく影響しているものと思います。それを本作がどのように折り合いをつけているかというのはここでは伏せておきますが、ある意味実に潔い形でありながら、その手があったか! と感心させられた、とだけは申し上げておきます。

 さて、ある意味信長の物好きさに助けられ、
弥助と名付けられて秀吉に預けられたヤーボ。京の都を行く二人の前に現れたのは、前田利家でありました。
 その利家の目的は、ヤーボの腕試し――言うまでもなく利家といえば槍の名人、ここにボクシングvs槍術という異次元の対決が描かれることとなるのは、本作ならではの面白さと言えるでしょう。

 そして言葉がわからぬながら、利家の意図を察し、ストリートファイトはウェルカムと受けて立つヤーボが実にいい。
 冷静に考えれば、武器を持った相手との戦いを平然と受けて立つというのは無茶にも思えますが、この台詞を含めて、ヤーボのこれまでの生き方を想像させる演出と感じます。


 さて、この時点ではまだヤーボは日本の言葉がわからず、当然信長や秀吉も英語がわからずという状況。
 互いの意思疎通の難航ぶりが、読んでいてももどかしい状況ではありますが、それがオチに生きてくるという構成は面白く、何となく、本作がこの先向かう方向が見えてくるようにも感じたところです。


『クロボーズ』(たみ&富沢義彦 コミックアース・スター連載) 公開サイト


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