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2016.05.19

『コンクリート・レボルティオ 超人幻想』 第19話「推参なり鐵假面」

 南極の氷の中から発見された三百年前の人間。それは戦国時代にゼスサタン軍団と戦った鐵假面剱士・影胡摩だった。誤解から爾朗を襲撃する胡摩だが、突然攻撃を止めて、最近発見された古墳に向かう。後を追った爾朗たちの前で、古墳に封じられたある存在を復活させようとする胡摩の真意とは……

 諸般の事情でストップしていた『コンクリート・レボルティオ 超人幻想』紹介ですが、通算第19話の今回の題材は特撮時代劇とくればやらないわけにはいきません。
 今回のゲスト超人は鐵假面剱士……以前、劇中漫画の主人公として登場し、その時に「うわぁ、読みたい!」「この世界の戦国時代・江戸時代も見てみたい!」と思っていたキャラクターであります。

 今回の物語は、その鐵假面剱士こと影胡摩が何故か南極から発見されたことから始まり、彼女を操って宿敵・爾朗を排除しようとする帝告の里見顧問と彼と結ぶ総理大臣の陰謀、それに巻き込まれた爾朗と来人と超人課の呉越同舟、そして思いもよらぬ胡摩の行動……と目まぐるしく展開していくこととなります。

 これまでもちょっと数え切れないくらいのモチーフを以て構築されてきた本作ですが、今回ざっと目に付いただけで「獣面の変身剣士」「強大な力を持つ神に身を捧げる乙女」「西日本を支配する巨大な魔王」「時代劇なのにビームやロケット」「氷の中から発見されるヒーロー」と(最後はちょっと趣が異なりますが)ニヤニヤさせられるものばかり。
 しかしもちろん、これまでと同様に、どこかで見たようなキャラクターや題材を組み合わせたパロディだけに終わらないのが、本作の魅力であり、恐ろしい点であります。


 冒頭で述べたとおり、今回のモチーフとなっているのは、特撮時代劇。それも昭和40年代、特に昭和47年・48年頃に放映された作品でありましょう。

 この時期に特撮時代劇が集中したのは、非常に大まかに言ってしまえば、折りからの変身ヒーローブームと、映画からTVへとその依って立つところを変えつつあった時代劇の幸福な結びつきの産物と言えるでしょう。
 しかしある意味非常に単純明快な足し合わせからスタートしたこのサブジャンルですが、この時代の特撮やTV時代劇がそうであったように、思わぬ化学反応を生み、実にユニークな内容を持つに至った作品もあります。

 その一つが、昭和48年に放映された『風雲ライオン丸』……今回の主なモチーフの一つと思われる作品であります。

 いずれこのブログできちんと全話取りあげる予定ですが、戦国時代を舞台としつつも、ほとんど西部劇的なビジュアルやキャラクターなどの荒唐無稽な部分と並び、その極めて重くドライなストーリー展開が印象に残るこの作品。
 特に、死闘の果てに敵の首領を倒したものの、世に平和が戻ることなく戦乱は続き、主人公は一人笑顔もなく去って行く……という最終回は、今なお語り草であります。

 もちろん、超人百花繚乱だったこの時期において、シビアでハードな物語は皆無ではありませんが、この結末がある種の説得力を持つのは、戦国時代という史実をバックにしているからでありましょう。その意味で、特撮時代劇としての一つの到達点と言ってよい作品かと思います。

 話が遠回りしましたが、影胡摩がかつて味わった想い、そしてそれを引き金とした彼女の暴走とも思える行動は、この作品で描かれたものの延長線上にあると言ってもよいのではないでしょうか。


 本作でこれまで描かれてきたように、単純な正義が失われていく「現代」。それに対し、明確な正義と悪が存在し、正義が悪を滅ぼせば全てのケリがついた「過去」は一種の理想であるかもしれません。
 しかしそれも実は現代の人間からの線引きに過ぎません。そしてその図式は、我々が暮らす平成の時代と、本作のモチーフとなっている時代にも……というより、あらゆる時代を通じて当てはまるものでしょう。

 今回のエピソードは、過去の超人を現代に甦らせるという荒技を使うことによって、過去から現代を、現代からもう一つの現代を俯瞰的に見返したものと言えるでしょう。
 これまで同様、物語を構成する要素の善悪・良否を単純にジャッジするのではなく、同時に徒に相対主義に陥るのでもない、そしてもう一つ、そこに小さくとも一つの希望を見出すという、本作ならではの視点で。

 モチーフとなった作品同様、何処とも知れぬ旅に再び出た影胡摩。しかしあえて善悪の境の定かならざる現代を行くことを決意した彼女の顔に浮かぶものは、決して絶望でも諦めでもなかったと……私はそう感じるのです。


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