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2016.05.11

『戦国武将列伝』2016年6月号(後編) 天下分け目の大戦、決着目前!

 『戦国武将列伝』6月号の紹介の続きであります。今回はがラスト一話前というクライマックスを迎えた『バイラリン 真田幸村伝』と『セキガハラ』の二作品を中心に、四作品を紹介いたしましょう。

『バイラリン 真田幸村伝』(かわのいちろう)
 大坂の陣最後の激戦、いわゆる道明寺の戦に向かわんとする後藤又兵衛と真田幸村の両雄。しかし想定外の速度で迫る徳川軍を迎え撃つため、又兵衛はわずか三千の兵で、十倍以上の敵を迎え撃つことに……
 というわけで、今回描かれるのは後藤又兵衛の最期。戦国最後の猛将とも言うべき又兵衛の最後の大暴れは、まさしく闘神阿修羅、いや軍神摩利支天の如く――特に最後の突撃の場面は、この作者ならではと言うべき描きようで強烈に印象に残ります。

 この辺り、後藤又兵衛ファン、そして前作『後藤又兵衛 黒田官兵衛に最も愛された男』ファンとしてはたまらないのですが……しかし完全に又兵衛が主人公で、『バイラリン 真田幸村伝』としてはいかがなものか、というのも正直な印象ではあります。
 しかし、本作の幸村、およそ武張った豪傑ぶりとは無縁の曲者の幸村が、史上に残るあの痛快な口上を柄にもなく何故述べたか――ラストに描かれるその理由を見れば、そんなことは小さなことと思えてしまうのであります。


『不死の海』(嶋津蓮)
 越前若狭に残る八百比丘尼伝説を題材とした、8ページの短編であります。八百比丘尼が入定したという洞窟を訪れ、己の大望と不老不死のため、人魚の肉を求めた武士が得たものとは……
 八百比丘尼伝説ともう一つある人物にまつわる伝説、題材となっている二つの伝説自体は非常に有名なもので、その点に新味はありません。しかし、越前若狭という舞台でもってその両者を繋げてみせたのは、本作ならではの独自性と言うべきでありましょう。


『セキガハラ』(長谷川哲也)
 怒濤の勢いで関ヶ原の戦に突入した本作、ついに家康の記憶という逆転の鍵を手にした三成と満姫を行かせるため、黒臣家康と徳川四天王(-酒井忠継)に挑むは三成の盟友たち……

 というわけで、クライマックスらしく非常に盛り上がる展開となった本作。宇喜多秀家vs井伊直政、大谷吉継vs本多忠勝、島左近vs榊原康政、直江兼続vs家康と、夢のカード(と言ってもよいものか……)の中で、それぞれの能力を生かした異能バトルの醍醐味がフルに発揮された形となっています。
(そして地味に素晴らしい働きを見せる吉川広家)

 そして長かった戦いよさらば!! と思いきや、本作では珍しく(?)史実に比べて動きが地味だったあの男が……というわけでまだまだラストまで油断できない作品であります。


『孔雀王 戦国転生』(荻野真)
 あまりに衝撃的すぎるビジュアルの悪徳太子の出現、そして『孔雀王』本編との関わりが描かれ、いよいよ結末も間近と思われた本作ですが、今回から新展開。
 足利義昭を将軍位に据えた信長の行く手を遮るのは、奇怪な黄金に心を蝕まれ、操られた人々。そして、黄金と言えば……というわけで、あの大物戦国武将の影が蠢くこととなります。

 が、今回の舞台となるのは、近江は浅井長政の小谷城。そこで何やら不穏な動きを察知した孔雀は信長と(あっさり)和解、信長の代わりに浅井を探ることに……という展開なのですが、なんと言っても強烈なインパクトなのは今回登場する敵の姿であります。
 詳細は伏せますが、黄金、あの武将という連想から、あの悪趣味映画に繋げるとは……と驚いたというか、作者の尽きせぬ発想に感心したところです。
(しかし物語の途中で輿入れしたお市も、早くも三人の子持ちということで時間の流れは早いものです(


 というわけで、次の号ではついに『セキガハラ』と『バイラリン』が完結。その内容もさることながら、その次に待つ作品にも期待してしまうというのは、流石に気が早すぎるかもしれませんが……


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