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2016.07.26

『Thunderbolt Fantasy 東離劍遊紀』 第3話「夜魔の森の女」

 殤不患や狩雲霄と合流した凜雪鴉は、一堂に蔑天骸が潜む七罪塔に至るまでの三つの関門の存在を語る。そのそれぞれを突破する力を持つ知己がいるという凜雪鴉は、最初の亡者の谷を突破するため、夜魔の森に潜む刑亥を訪ねる。しかし死霊術を操る妖魔である彼女は、一行に死霊の群れを差し向ける……

 前回のラスト、狩雲霄が突然殤不患目がけて矢を射た……ように見えたのは後ろに隠れていた玄鬼宗を狙っただけだった、というよくあるオチで始まった今回、戦いが終わった頃を狙ったように登場したのは丹翡を連れた凜雪鴉であります。
 やはり前回送られた三通の手紙の一つの宛先だった狩雲霄は、「今は何と名乗っている?」などといういかにも昔なじみらしいやりとりを経て同行を快諾。その舎弟の捲殘雲も同様ですが……しかし殤不患は同行を思い切り拒否。しかしこれ以上玄鬼宗につきまとわれないように蔑天骸を倒すには、(色々な意味で)彼らと同じ道を行くしかないのでした。

 そんなわけで宿屋に落ち着いた一行ですが(殤不患は一緒だったのですが今回は大丈夫だったのか……?)、ここで凜雪鴉が語るのは、蔑天骸と彼が潜む七罪塔の来歴。かつて強大な魔術師が作り上げたこの塔の番兵であった蔑天骸(どんな格好をしていたのか想像するとちょっと楽しい)は、魔術師の術を盗んだ上で寝首を掻くと、塔の主に収まったというのであります。

 そして塔に近づくには空を飛ぶか、地で待ち受ける三つの関門を突破する必要があるのですが、当然前者は不可能として挑むべきは後者。しかし生ける亡者たちが徘徊するという「亡者の谷」、巨大な石の絡繰巨人が守るという「傀儡の谷」、そして一歩道を間違えれば異次元に飛ばされてしまうという(奇門遁甲の強烈なやつでしょうか)「闇の迷宮」と、いずれも攻略は困難極まりないものです。
 うち、傀儡の谷は、狩雲霄の矢でクリア可能、闇の迷宮も攻略に必要なアイテムを持つ知己がいるとのことですが、さて残る亡者の谷は……心当たりのあるらしい狩雲霄は露骨に厭な顔をいたします。

 さてその晩、殤不患の部屋を訪ねてくる丹翡ですが、もちろん艶っぽい話ではなく、いまだに共に戦おうとしない殤不患を説き伏せるのが目的。が、これまでの旅暮らしの中で、神誨魔械と称する紛い物を幾つも見てきたという殤不患は、その一つであるという天刑劍も偽物ではないかと疑いの目を向けます。
 もちろんこれには丹翡も反論しますが、しかし本物であれば手にして蔑天骸を討つべきであったし、偽物であれば向こうも相手にしなかっただろう、というのはまことにもっともな指摘であります。

 おそらくは生き馬の目を抜くような江湖での暮らしが長い殤不患にとっては、一族の掟に縛られ、そのために命を落とし、かえって天刑劍を危険に陥れた丹翡たちの有様は、何とも歯がゆくも愚かしく見えたということでしょう。一見粗雑に見える殤不患が、一行の中ではツッコミ役というか、常識人的な感覚を持っているのが、本作の面白いところではないでしょうか。
 しかし一方的に丹翡に憧れている捲殘雲にとっては面白くない状況のようですが……(しかし捲殘雲、思い切り貧しい出か、あるいは実はお坊ちゃんのどちらかのような)

 さて、亡者の谷をクリアするために必要な者を求めて夜魔の森を訪れた一行ですが、森は瘴気漂う魔所。さらに突如宙に浮かんだ権高な美女の頭に生えるのは……巨大な角。そう、美女――刑亥は妖魔の血族だったのであります。その刑亥の立ち入り禁止メッセージにかなり弱気の殤不患ですが、あれは誰に対しても同じ事を言う看板のようなものだと凜雪鴉は飄々と歩を進めるのみ。

 そして行く手には彼言うところの番犬――死霊の群れが現れるのですが、それを引き受けて一行を先に行かせるのは丹翡と捲殘雲。一応は狩雲霄が腕を認める捲殘雲はともかく、丹翡は……と思いきや、言ってみれば「聖」属性の彼女は死霊に対してはいわば天敵なのでしょう。
 猛然と槍で死霊を薙いでいく捲殘雲と、華麗な術で次々と死霊を射貫く丹翡……これまで腕前を見せていなかった二人もまた、一行に加わるに充分な腕前の持ち主なのでした(にしても、死霊なら首チョンパしたり爆破したりしても安心して見ていられるなあ……)。

 そして先を急ぐ凜雪鴉は、刑亥の説得に無闇に自信があるようですが……どう考えてもあれは李莫愁のようなタイプ、過去に二人の間に何かあったのでは……と嫌な予感が黒雲のように湧いてきたところで次回に続きます。


 内容的には設定説明が中心の印象だった今回、アクションはラストだけで、やはり30分は短い……というのが正直な印象。登場人物のやりとりも大きな魅力の作品だけに、その辺りのバランス取りは難しいのだとは思いますが。


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