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2016.08.20

フクイタクミ『百足 ムカデ』第3巻 死闘決着! 駆け抜けた青春

 一対百、命を賭けた一晩限りの壮絶バトルを描く『百足 ムカデ』の第3巻にして最終巻であります。月のない夜に人里を襲い、一晩で全てを喰らう百人の外道「百足」から村を守るため、ただ一人立ち向かう百手無双流の拳豪・馬頭丸。残すところは38人、しかし満身創痍の馬頭丸に果たして勝機はあるのか!?

 旅の途中に行き倒れかかっていたところを、山村の娘・泉に救われた馬頭丸。ある日、泉とその弟が山に入ったまま帰ってこないのを探しに行った馬頭丸は、そこで異形の群れに遭遇、襲いかかってきた相手を反射的に叩き潰してしまうのですが……

 それこそは百足の一番隊、行く先々を喰らい尽くしていく先遣隊と対峙してしまった馬頭丸は、自らの命を守るため、泉と弟を守るため、そして村の人々を守るため、ただ一人、百足の群れを相手に山中で死闘を繰り広げることとなります。

 面白武器あり、改造人間ありと何でもアリの百足を、己の行動の結果を百通り想像して動く百手無双流を武器に次々と叩き潰していく馬頭丸ですが……しかし彼も生身の人間。その身を疲労が蝕んでいくのに加え、彼のその人間らしさが、最大の罠となって襲いかかることになるのでした。

 百足の五番隊――人体改造を得意とする狂気の部隊の隊長と山中で出会った馬頭丸。しかし見かけは極めて気弱な少女である相手のことを無警戒に受け入れてしまった馬頭丸は、彼女に斬りつけられ、左腕に回復不能の深手を負ってしまうのであります。
 両手でも文字通り「手に余る」百足も、五番隊、半数が村の襲撃に向かった九番隊、機動性に優れる三番隊、最強の十番隊と、まだ残り三分の一以上が残るのに対して、馬頭丸は生き残れるのか、そして泉を、村を守り抜くことができるのか!?


 と、物語的な部分は、ここで説明したものがほとんど全て。後は戦って戦って戦い抜くのみ――次から次へと描かれる、馬頭丸が、ビジュアルも武装もあまりに濃すぎる百足たちを次々と粉砕していく姿のみなのです。

 これまで同様、その豪快な粉砕ぶりは、痛快ですらあるのですが、しかし上で述べたとおり、馬頭丸も満身創痍。そして当然と言うべきか、後に行けば行くほど強い敵が現れるとくれば、これまでのような戦いを繰り広げるわけにはいかないのもまた事実です。
 しかし馬頭丸は孤立無援、ここで都合よく助っ人が現れるはずもなく、また現れて欲しくもない、と思いきや……そのギリギリのラインで描かれる終盤の展開には、ただ胸を熱くするのみであります。
(読み返してみると、しっかり伏線があるのも嬉しい)

 そして全ての終わった後、時代ものという(非常に乱暴に言えば)昔話の形式をうまく活かした結末もまた、心憎い限りなのです。


 ストーリーも場面展開も最小限、あとはひたすらに無茶苦茶に強い男と、無茶苦茶に悪い奴らの一対百の正面衝突をノンストップで描く……
 単純なようでして、しかし相当に難しいそれを、本作は過不足なく描ききってみせました。ただ感服、そして満腹であります。


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