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2016.08.18

『Thunderbolt Fantasy 東離劍遊紀』 第6話「七人同舟」

 七罪塔に挑むべく集結した七人。しかしそれぞれの心がバラバラな状態を危ぶむ殤不患だが、西幽出身を自称することから、周囲からは次々と疑いの目を向けられてしまう。そして船旅の末、塔のある魔脊山近くに上陸しようとする一行を、獵魅と凋命ら玄鬼宗が待ち伏せる。勇躍先陣を切る捲殘雲だが……

 前回、思わぬ成り行きで仲間入り(というか同行)することとなった殺無生も交え、玄鬼宗の待ち伏せを避けて船で魔脊山近くまで行ってしまおうという鬼鳥の策ですが、仲間とは言っても一行七人の思惑はバラバラ、相手の命を狙う者も一人や二人ではありません。
 その筆頭が、いまだに実力差を理解していないのか殺無生を倒して名を上げようという捲殘雲。殤不患は(おそらくは捲殘雲のためを思って)殺無生を殺せばお前は仲間殺しと呼ばれるようになる、といかにも武侠的な江湖の掟を持ち出して説得しますが、そんな配慮を理解できる相手ではありません。

 それどころか、案外性格が悪い殺無生が「殤不患が西幽から来たと言っている」と言い触らしたおかげで、捲殘雲は殤不患をいよいよ不信の目でみる羽目に。さらにその兄貴分の狩雲霄までもが殤不患を疑いの目で見るようになってしまいます。鬼鳥の呼び出しに二つ返事で応じたように見えた狩雲霄ですが、どうやら相当に含むものがある様子、鬼鳥とは何者か尋ねる殤不患を、鬼鳥の回し者と決めつけ不信感を露わにするのでした。
 と、そこに現れた鬼鳥は、殤不患が西幽から来たというのはあり得ないことではないと、(前回私が公式サイトで勉強した)東離と西幽、鬼歿之地のことを語り、使用言語の点から理路整然と殤不患の言葉をフォローいたします。が、武侠ものにおいては江湖の豪傑は物わかりが悪いという定番に沿って、結局狩雲霄は殤不患を鬼鳥と同類扱いするのを止めようとしません。

 船出した後も、せっせと呪符を作る最中の刑亥に鬼鳥のことを尋ねたものの、魔族の彼女にまで、西幽から来たというのはホラだろう、行動原理が理解できないと言われてしまう殤不患。やっぱり鬼鳥のスパイ扱いされてしまい、どれだけ皆疑り深いのか……というより鬼鳥が信用されていないのか。
 唯一、丹翡だけは殤不患も鬼鳥も、誰も疑う様子を見せませんが……彼女の場合は超がつく純粋培養のお人好しゆえ、喜んでよいのかどうか。しかし、旅に新鮮さを感じることに罪の意識も感じるという彼女に暖かい言葉をかける殤不患は、やはり親指を立てて賞賛したくなるような好漢です。とはいえ、やはり過去が謎だらけの人物であることは間違いありませんが――

 さて無事に船は目的地に着いた、と思いきや、そこで待ち構えていたのは獵魅に凋命率いる玄鬼宗の兵隊の群れ。鬼鳥の策も台無しですが、そこは力で物を言わせるのも江湖の習い。殺無生の、自分より先に幹部二人を斃したら負けを認めるという言葉に簡単に乗せられた捲殘雲は、一人軽功でもって岸まで辿り着き、雑魚を叩き伏せていきます。
(ここで「いっそ弟子でも取ったらどうだ」という狩雲霄の言葉に、「見込みのある奴だとわかった途端に斬りたくなる」と応える殺無生の古龍イズム)

 しかし如何に捲殘雲が無駄に力が有り余っているとはいえ、玄鬼宗の数も多い。ここで刑亥の死霊術と狩雲霄の弓術により思わぬ合体技が炸裂――刑亥の呪符を射貫いた狩雲霄の矢が次々と丘の上の玄鬼宗の死体に刺さり、遠距離からの死霊術を可能とします。念白とともに艶やかな所作で術を発動させた刑亥により、哀れ玄鬼宗は、捲殘雲のほか、かつての仲間たちのゾンビと矛を交える羽目に……
 そんなこんなで雑魚も減り、ようやく中ボス格の二人の前に辿り着いた捲殘雲。しかしその前に忽然と現れたのは、軽功の上位バージョンともいうべき流星歩でやってきた殺無生。その存在は情報になかったのか、焦り怯みまくる凋命を残し、ただ一人突っ込んでいく獵魅ですが――しかし殺無生との一瞬の交錯の後、胸を貫かれて地に伏すのでした。

 これで残るは大川透声とはいえ小物感漂う凋命一人と思いきや、そこに爆風とともに出現したのは蔑天骸。余裕を見せながらの登場ですが……


 普通であればヒーロー然とした殤不患が疑われまくるため、些かすっきりしないものが残る今回。しかし呉越同舟をもじったサブタイトルどおり、お互いの思惑が食い違いまくる曲者揃いの連中が好き勝手に暴れ、相手を利用し合ううちに、妙なチームワークを見せるというのはなかなか面白いところです(それを素直に喜ぶ丹翡と、のうのうと信頼と絆の証とか言っている鬼鳥も可笑しい)。
 しかしこんな連中を相手に、こんな前半の段階で絶望的な戦力差をつけられて本当に大丈夫なのか? 悪役の方が心配になるという珍しい展開で次回に続きます。


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