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2016.09.20

『Thunderbolt Fantasy 東離劍遊紀』 第11話「誇り高き命」

 凜雪鴉に変装して蔑天骸とともに下山した殤不患。その間に天刑劍の柄を盗み出さんとする凜雪鴉だが、既に柄は蔑天骸が持ち出しており、殤不患の変装もすぐに見破られてしまう。一方、無垠寺に向かい、隠されていた鍔を見つけた丹翡と捲殘雲の前に、蔑天骸と手を組んだ狩雲霄と刑亥が現れる……

 気がつけば残すところ今回を入れてわずか3回。いよいよ事態が錯綜してきた今回、冒頭で描かれるのは、鍔の受け渡しのために凜雪鴉に化けて下山する殤不患と、玄鬼宗を率いて同行する蔑天骸なのですが……口調はいつも通りだわ、衣装や剣へのツッコミにもしどろもどろだわ、ガバガバの殤不患に頭を抱えたくなります。
 それでも何とか七罪塔を出発した一行ですが、一度使っているはずの魑翼の飛行高度にいまだ殤不患は馴れない様子。彼は怖さ紛れか、神誨魔械数ある中で何故天刑劍にのみ目をつけたのか――すなわち、何故天刑劍が最強なのか、蔑天骸に質問いたします。

 魔界と交信できると称する蔑天骸曰く、神誨魔械が魔神を滅ぼすというのは巷説で、追い返すのが関の山。魔界ではかつての大戦で人間界に現れた魔神たち、すなわち神誨魔械に倒されたはずの連中が健在であると――一柱、いまだ魔界に姿を見せない魔神・妖荼黎を除いて。その妖荼黎を倒したのが天刑劍であり、それが天刑劍最強の証なのだと……
 それは単に妖荼黎が人間界のどこかに封印されただけではないか、という気もしますが、殤不患の方も、魔神の何たるかを知っているかのような口ぶりなのも気になるところです。

 それはさておき下界に到着して玄鬼宗の下っ端が荷台に載せてきた金塊の箱に出迎えられる一行。ここで中身を確かめるように言われた殤不患は、一番上の一箱をチェックしてOKを出すのですが、これが罠でありました。金塊が入っているのはその箱だけでそれ以外は偽物、本物の凜雪鴉であれば荷車の沈み具合を見ただけで箱の重さが、すなわち中身がわかるはず! という理屈で正体が露見してしまうのですが……むしろここまで丁寧に正体を暴いてくれる玄鬼宗が丁寧すぎる。
 何はともあれ変装の必要がなくなた殤不患は、気合いだけでダイナミックに変装を吹き飛ばすと、豪快に玄鬼宗との立ち回りを始めるのでした。

 一方、七罪塔で隠密行動の凜雪鴉は、その途中で甲斐甲斐しく(本当にちまちま動いて可愛らしい)玄鬼宗が宴の後片付けをしているのを発見。食器の数から、蔑天骸の他に二人いたことを知った彼は、ここでも天刑劍絡みで何ごとか話し合われていたことを悟ります。それはさておいて、蔑天骸の金庫を開けたものの、そこに柄は既になく、蔑天骸が持ち出したことを凜雪鴉は知るのでした。
 さらに丹翡が何者かに助け出され姿を消したことから、殤不患が鍔の在処を教えたかと推理する凜雪鴉ですが……てっきり全て計算済みだったのかと思えば、彼がここまで尽く出遅れるのも珍しい。それだけ事態は錯綜しているということでしょうか。

 一方、七罪塔を脱出した丹翡と捲殘雲は、丹翡が見つけた気配を辿り、近くの霊木に丹翡が開けた霊脈(ワープゾーン)の入り口から、目的地の無垠寺までひとっ飛び。無事に鍔を見つけるのですが、そこに現れたのは刑亥と狩雲霄……蔑天骸と取り引きしたという二人は、丹翡たちの後をつけ、やはり刑亥の術で霊脈を通り抜けてきたのであります。
 そして始まる二組のバトル。丹翡対刑亥は比較的いい勝負ですが、心配なのは捲殘雲。一度だけなら咎めはすまいと意外と甘い狩雲霄の言葉を、あくまでも捲殘雲は拒絶します。ああ、よせばいいのに……と思いきや、ここで一皮むけたところを見せることになります。

 本物の誇りとは命と引き替えに手に入れるものだとというのならば、だからこそ、いつか誇り高く死んでいくためにも恥じるような生き方はできない! そんな啖呵を切った捲殘雲のバックについに念白が流れ、素晴らしい盛り上がりであります。
 が、片手で鍔を持った状態で狩雲霄とやり合おうというのはどだい無理、お互い奥義を繰り出すも狩雲霄に及ばず、その必殺の一矢が捲殘雲の頭を射貫いた……と思いきや、辛うじて顔を掠めただけですみましたが、その矢は彼の右目を奪っていたのでした。

 そして狩雲霄に奪われる鍔。それを見た丹翡も奥義を放つのですが――それは二人を倒すのではなく、逃走用の目くらましのため。鍔に拘泥せず、捲殘雲を連れて再起を期して脱出した彼女もまた、大きく成長したと言うべきでしょう。


 というわけで、ついに柄も鍔も蔑天骸側の手に落ちてしまったわけですが、だとすれば蔑天骸が次に向かう場所はおそらく物語の始まりの地……そして非常に格好いい次回予告の口上からすれば、次回はついに殤不患の正体が明かされる様子であります。
 今回シルエットで登場した妖荼黎も気になりますが、さすがに今から登場はないか……?


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