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2016.10.07

『Thunderbolt Fantasy 東離劍遊紀』 第13話「新たなる使命」(その二) と全編を通じて

 『Thunderbolt Fantasy 東離劍遊紀』の最終回の感想の続きであります。蔑天骸を相手に凜雪鴉が妙な追い込みをかけたおかげで復活した妖荼黎打倒の唯一の手段たる天刑劍が喪われ、万策尽きたかと思われた時――

 その時、ただ一人、妖荼黎の前に立つ殤不患。そうだ、我々にはこの男がいる! といっても彼は文字通りの徒手空拳と思いきや、彼は、俺たちは二本の腕と十本の指で道具が扱えると力強い宣言。そして道具には他に代わりがいくらでもあると……!

 そこで彼が取り出したのは一本の巻物。そこに記されたのは、いずれも西幽の名だたる魔剣・妖剣・聖剣・邪剣――なんと彼は蔑天骸も真っ青の剣コレクターだった!? そして妙にタブレットめいたスクロール操作で彼が取り出したのは一本の異形の剣、須彌天幻・劫荒劍であります。
 七支刀状に変形したその剣が生み出したのは平たくいえばブラックホール、その中に妖荼黎は瞬く間に吸い込まれ、あっさりと封印されてしまうのでした。

 実は西幽で争いの原因となる件の剣たちを集めていた殤不患。しかし集めも集めたり36本の剣の目録を付け狙う悪人たちが引きも切らず現れるため、剣の捨て場所を求めて旅するうちに鬼歿之地も超え、東離に辿り着いてしまった――いやはや、まさに大英雄の所業であります(というかレベルカンスト、アイテムフルコンプして追加ディスクに手を出したRPGの廃プレーヤーのような……)

 何はともあれ妖荼黎を飲み込んだ空間の穴が塞がるには百年かかるとのこと。そしてその剣の封印を守るのが、丹翡の、捲殘雲の「新たなる使命」。使命に燃える丹翡と、しっかり丹翡の尻の下に敷かれつつも幸せそうな捲殘雲の二人に別れを告げずに去る殤不患の前に、凜雪鴉が現れます。
 絶っっっ対ついてくんなよ! という殤不患に、第1話のお返しのように傘を差し出す凜雪鴉。その内心では、彼の目録に群がってくるであろう悪党の中にいるかもしれない極上の奸物目当てに、付きまとってやる気満々ですが……

 そんな殤不患の行く先は嵐の予感。彼は傘を路傍の地蔵にかけてやると、念白とともに一人飄然と去っていくのでありました。(完)


 ――というわけで文句なしの大団円を迎えた本作。(個人的には馴染み深いとはいえ)武侠という日本ではあまり広まっていない題材に、さらに馴染みのない布袋劇というメディアという、非常に冒険的な作品でしたが、最後まで非常に楽しませていただきました。
 最初のうちは少々キャラクターが類型的かな、とも思ったものですが、物語が進むに連れて次々に明かされていく彼らの意外な素顔には唸らされてばかりでしたし、特に主人公二人の「正体」が物語を牽引していく終盤の展開は大いに引きこまれた次第です。

 実は武侠ものと一口にいってもなかなか定義は難しいのですが(例えば本作のようにファンタジー世界を舞台にしたものも含まれるか、など)、本作は設定・舞台においてはその辺りをうまく最大公約数的に取り入れていたかと思います。
 そしてキャラクター造形においては、これぞ武侠! というべき、既成の権威権力に依らず、自らの道、自らの真実を貫かんとして江湖をさすらう善魔入り乱れた英雄豪傑たちの姿がきっちりと描かれ、それが最大の魅力になっていたことは間違いありません。
(先に述べたように、蔑天骸はじめとする玄鬼宗は類型的に感じられたのですが、それも計算通りであったと今では理解できます)

 唯一の不満は、まだまだ様々なキャラクターを出して欲しかった、そしてもっともっとたくさんのエピソードを見たかった……という点ですが、そこは続編決定ということで、そちらに期待しましょう。
 本作においてそのキャラクターが確立された殤不患と凜雪鴉、二人の好漢がどんな冒険を繰り広げてくれるのか――何よりもこの二人が再び顔を合わせた時のことを考えるだけで、思わず顔がほころんでしまうのであります。

 まずはその時を楽しみにしておくこととしましょう。


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