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2016.10.06

『Thunderbolt Fantasy 東離劍遊紀』 第13話「新たなる使命」(その一)

 天刑劍を手にした蔑天骸に対し、真っ正面から剣で立ち向かい圧倒する凜雪鴉。完全に勝利しながらも命を取ろうとしない凜雪鴉に対し、蔑天骸は天刑劍を破壊し、凜雪鴉を嘲笑いながら命を断つ。そんな中、完全に封印から復活する妖荼黎。唯一の対抗策が失われた中、ただ一人、妖荼黎の前に立つ者は……

 遂に最終回、いきなりクライマックスに相応しく、主題歌なしで物語は始まります。

 天刑劍を手にしてご満悦の蔑天骸の前で、物語が始まって以来初めて剣を抜き放った凜雪鴉。真正面からお前の天狗の鼻を折るという凜雪鴉を嘲笑い、蔑天骸は魅翼を召喚して相手をさせようとしますが、凄まじい速度で打ってかかった凜雪鴉が召喚の笛に傷をつけていたことで、逆に魅翼は蔑天骸に襲いかかります。
 もちろんこれはあっさり退けた蔑天骸ですが、この腕を見せられれば、凜雪鴉の剣を認めざるを得ません。しかし「それだけの腕を持ちながら殺無生から逃げ惑っていたのは何故か」と問われて「強者を求める相手を喜ばせてやる筋合いはない」と答え、「なぜ盗賊などやっているのか」と問われて「剣に飽きたから」と完全に舐めきった答えを返されれば、これまで大物ぶっていた蔑天骸もキレずにはおれません。

 美しい月光を浴びながら激しく切り結ぶ両雄。しかしその間も舌戦は止みません……というより一方的に凜雪鴉が攻め立てます。剣の道がたどり着く先は山の頂などではなく大海原のようなもの、極めるほどに果てが見えなくなる……ごもっとも。言うことはまさに達人のそれですが、凜雪鴉の場合、その道に嫌気がさして剣を捨てたというのですから、蔑天骸立つ瀬なし。
 ついにエフェクトで地球がぶっ飛ぶほどの(少なくとも蔑天骸には)最大奥義を繰り出す二人ですが、勝ったのは凜雪鴉――しかも、彼には蔑天骸の命を取る素振りもありません。邪道の輩は断たないでからかった方が楽しいからね、と鬼のようなことを言う凜雪鴉の前に、蔑天骸は完全敗北であります。

 正直なところ、善悪定め難い個性的なキャラクターが次々登場する本作の中では、定型的な悪役、世紀末覇王的なそれの域を出ない印象だった蔑天骸ですが、なるほどそれもこの時のため――凜雪鴉の人となりを示すための踏み台とするためであったか、というのは一面的な見方かもしれませんが、個人的には腑に落ちました。
 しかし視聴者までそんな風に思われては(?)蔑天骸も我慢できません。お前も絶望させてやるとばかりに天刑劍をひねり壊した蔑天骸、折れた天刑劍の刃に貫かれて血笑の中に息絶えます。

 さすがに妖荼黎を封印できる唯一の武器である天刑劍を破壊されて凜雪鴉も焦った――かと思えば、負け犬は負け犬らしく死ね、絶望したくせに笑いながら死ぬな卑怯者! ……と、そこ? とツッコみたくなる怒りっぷりですが、あれだけ小憎たらしいばかりの余裕を見せていた凜雪鴉の仮面を引き剥がしたのですから蔑天骸も以て瞑すべしでしょう。
 しかしそんなことをやっている間にも刑亥の儀式は進み、ついに妖荼黎が復活(そして祠が崩れる中に消える刑亥)し、人間界抹殺を宣言。そこに駆けつけた殤不患らは事の次第を凜雪鴉から聞き出しますが、殤不患の「妙な追い込みをかけたんじゃないだろうな!」というお言葉ごもっとも。

 しかし実際問題として天刑劍がなければ対抗手段がない。別の神誨魔械を持ってきたら、とすっとぼけた提案をする凜雪鴉ですが、道義的に問題があるし、そこにも魔神が封印されていたら洒落になりません。

 万策尽きたかと思われた時――長くなりましたので次回に続きます。


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