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2016.12.09

『仮面の忍者赤影』 第51話「決戦魔風忍群」

 雷丸に囚われたまま陽炎に続き、ジジゴラに青影までもが捕らえられてしまった。赤影たちの助けを待つ二人は、これまでの魔風忍群や怪忍獣との戦いを思い出していた……

 根来篇に続き、この魔風篇もラスト一話前は総集編。囚われの身となった陽炎が影の里が滅びていく過程と自分を巡る戦いの数々を、そして青影が姉を助けだすための怪忍獣たちとの戦いを思い出すという趣向であります。

 今回描かれるのは以下のシーンであります。
・魔風忍群とグロンによる影の里襲撃
・陽炎たちの脱出と影館の大爆発
・ギロズンに襲撃される陽炎たちと陽炎の身体検査
・闇の黒蔵が化けたニセ赤影との対決
・ガガラ出現と口無水乃の死
・ガガラ対ザバミと足切主水の最期
・バビランとの対決
・ジジゴラに攫われる青影

 登場忍者は夜目蟲斎、血汐将監、闇の黒蔵、口無水乃、足切主水、花粉道伯そして雲間猿彦……というわけで今回も怪忍獣中心のセレクトであります。
 一応猿彦も登場はするのですが、ほとんど顔見せ的な扱い。この魔風篇の一つの柱であった彼の葛藤、犬彦との対峙はさすがに短い時間で描けないということかと思いますが、少々残念ではあります。
(ちなみに今回の編集では、足切主水がザバミもろともガガラに敗れたような描写なのが楽しい)


 さて、根来篇同様、こちらも最終回一話前に魔風篇を振り返ってみれば、やはり怪忍獣の活躍が印象に残るとはいえ、物語の方向性としては全く異なっていたというのが(当たり前といえば当たり前かもしれませんが)正直な印象であります。

 以前にも触れましたが、根来篇が武将同士の争いに雇われる形でそれぞれの忍者集団が戦いを繰り広げたとすれば、今回の魔風篇は、純粋に忍者集団同士の争い。これまで赤影たちの雇い主として登場した織田家の人間は全く登場せず、影一族同士の生存のための戦いが描かれることとなります。

 その点では、ある意味もっとも歴史との接点が少ないパートと言うことができますが――まあ、特に第二部などは接点とはいっても本当に申し訳程度だったわけですが――もちろんそれで物語がつまらなくなるかといえばそういうことはありません。
 陽炎と黄金の仮面争奪戦という比較的シンプルな筋立ての中で、忍者と忍者、忍者と怪忍獣の、余人(武士)を交えぬことで純度の高い戦いを描いてみせたのには、また別の面白さがあります。

 そしてその面白さの一翼を担っていたのが、敵の首魁たる魔風雷丸であることは間違いありません。
 歌舞伎的なメイクでコミカルな(そして時に飛ばしすぎて意味不明な)オーバーアクトというのは、悪い意味で子供番組の悪役的になりかねませんが、そこに妙な存在感を与えた汐路章の怪演はもちろんのこと、意外にもクレバーな立ち回りが独特の存在感を与えていたと感じます。

 これまでの忍群の首魁が、野望とカリスマで部下を率いてきたのに対し、それに加えて妙な愛嬌と凶暴性、そして悪辣さと冷酷さ(部下の家族を人質に取る、というのは悪の組織にはまま見られる描写ですが、それが制度化されているというのは凄まじい)を持つ彼の姿からは、妙なリアリティが感じられます。

 というよりその存在と立ち振る舞いは、戦国時代の混沌から生まれた戦国武将たち(というよりその原型である室町後期の下克上から生まれた者たち)のネガの姿を思わせる、というのはさすがに考えすぎかもしれませんが――


 第二部以来久々に超科学(という名の手抜き)描写があったり、やはり雷丸と一部の配下のやり取りにはやり過ぎ感があったりと、色々と頭を抱える部分もあった魔風篇ですが、残すところはあと一話。
 最後の最後にまた頭を抱えるような気もしますが、何はともあれ長きに渡ってきた赤影最後の戦いを楽しみにしておきましょう。


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