山田秋太郎『墓場の七人』第2巻 出るも守るも続く地獄絵図
七人の侍vsゾンビというコンセプトで度肝を抜いてくれた『墓場の七人』、待望の第2巻であります。生ける死者「屍人」から墓場村を守るために集められた七人の猛者。村に立て籠もった人々を守る七人ですが、しかし想像を絶する敵の能力と生態は彼らと村の人々を窮地に陥れることに――
屍人に包囲された墓場村を救うため、用心棒を求めて各地に散った七人姉弟。末っ子の七平太も幾多の苦難を乗り越え、凄腕の剣士・一色を見つけて帰還、駆けつけた六人の用心棒とともに屍人の襲撃から村を救うことに成功します。
集結した「墓場の七人」、その顔ぶれは――
相手を百の肉片に挽くことからかつては百挽と呼ばれた男・一色
この世の「腐れ」を好む剣呑極まりない体術使いの美女・邪魅羅
僧侶にして医者でもある生真面目な青年・暮威
華奢な美少年ながら、砂などの鉄分を自在に操る由利丸
その由利丸とコンビを組む、大槍を持った寡黙な巨漢・百山
金目の話に目がない商人にして、絡繰り使いの男・千両箱
そして今なおその力を見せぬ壮漢・椿團十郎
一色と邪魅羅以外は第1巻ラストが初登場というのは、集結過程をじっくり見せるのが定番の「○○の七人」ものからすれば異色ですが、しかし彼らの外連味の効きまくったビジュアルと能力を見れば、それも小さい拘りと思わされるほどの、堂々たる顔ぶれであります。
さて、こうして集結した墓場の七人の任務は、十日のあいだ村を守ること。かつて行われた最大の合戦地(関ヶ原?)の死者を祀るために公儀によって作られたこの村を守るため、十日の後には公儀の援兵が到着するというのであります。
しかしバリケードに隠れて守りを固めようとしてもそうもいかず……というのはゾンビものの定番。ほとんど休む間もなく村に襲撃を仕掛けてきた桁外れの巨体を持つ屍人「がしゃどくろ」の攻撃で防壁を破壊された村は、外敵に対して丸裸も同然。
早くも総力戦を強いられることとなった墓場村ですが、しかし村人が手にする武器はありません(なるほど、時代背景を考えれば尤もな話ではあります)。
ここで一色たちが藁をも掴む思いで頼ることとなったのは、物語の冒頭に登場した悪旗本が集めていた(のを邪魅羅がちょろまかして隠した)武器。そしてその中には、一色の家に代々伝わる退魔の刀が――
かくて隠し場所に向かうのは、一色・邪魅羅・千両箱と七平太の二人の姉。しかし隠し場所は遠く、そこまでは無数の屍人が蠢く地を横断することになります。
一方、村に残ることとなった七平太は、がしゃどくろの死体を調査した暮威から、屍人にまつわる恐るべき事実を知ることに――
非力な人々が暮らす村を守るために戦うというのも「七人」ものの定番ですが、しかし守るだけの戦い、それも数もわからなければ文字通り不死身の体を持つ相手を向こうに回しての戦いは、一歩間違えれば単調になりかねぬものであります。
本作はそこに十日間というタイムリミットを設けるとともに、一色たちが一度村を離れなければならない状況を設定することで、幾重にも捻った展開を用意してくれるのが嬉しいところです。
しかしもちろん、村を出るも守るも、そこにあるのは屍人が蠢く地獄絵図。
特に墓場村を襲った危機は、これまたゾンビものでは定番のものなのですが、しかし江戸時代の人間がそれを知るはずもないことから、惨劇が広がっていくというのが、なかなかいい。
この先どれだけの惨劇が待つのか、そして素直に十日後に戦いは終わるのか……そして七人は生き残ることができるのか。
まだまだ先の読めぬゾンビ時代劇のたどり着く先に期待であります。
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