« 久保田香里『青き竜の伝説』 絶対的な存在などない世界で | トップページ | 『風雲ライオン丸』 第12話「地獄谷に恨みをはらせ!」 »

2017.04.07

唐々煙『煉獄に笑う』第6巻 誕生、曇三兄弟!?

 舞台化も決定し、『曇天に笑う』にも負けず盛り上がる本作。巻数も本編と並びつつも、まだ先のわからぬ物語が展開していきますが……しかし今回、ついに佐吉と曇の双子が結びつき、そして佐吉が信長と対面と、物語を左右する数々の出来事が描かれることになります。そして最後には大きな爆弾が……

 ついに明らかになった大蛇の器候補者たちの顔ぶれ。その一人であった佐吉は、大蛇の力を求める百地一党と結んだ安倍清鳴の罠で、故郷の石田村襲撃の濡れ衣を着せられることになります。
 最高のタイミングで登場した曇の双子によって辛くも佐吉たちと石田村は救われたものの、人々の目は佐吉に厳しいまま。しかしそこで佐吉はある行動を……

 ということで、曇の双子の満を持しての復活という前巻のラストを経ても、なおも重い展開が続くこの第6巻。
 何もそこまでしなくとも……と佐吉の行動には思わされますが、しかしそれでもなお、自分の無力さを嘆きながらも、時代の不幸を不幸として受け入れることを拒否して立ち向かおうとする佐吉の姿は、清々しく映ります。

 そしてその佐吉の不器用な真っ直ぐさは、ついにあの二人を動かすこととなります。一人では無理でも、二人なら、いや三人ならば……主と部下ではなく、兄弟として、佐吉と曇芭恋、曇阿国は、義兄弟の契りを交わすのであります。
 ここに曇の三兄弟が誕生、さらに佐吉は「三人ならば成せる」と、三成の名乗りを――

 そうきたか! と唸り、そしてニンマリしてしまうようなこの展開。ここに至るまで本当に長かった……としみじみ思いますが、正直に言って予想だにしなかった展開であるものの、しかし同時にこれこそが見たかったものだと心から思わされる内容に、ただただ脱帽であります。


 しかしここで三兄弟はいきなり難敵にぶつかることになります。大蛇を求め、そして自らも器の一人である信長――安土城に潜む魔王が、佐吉の持つ髑髏鬼灯の巻物を求め、出頭を命じたのですから。
 というより信長による佐吉召喚は、この騒動以前からのもの。ある意味ようやく本筋に戻ったわけですが……しかし本作の信長は一筋縄でいく存在ではありません。

 何しろ、そのビジュアルはどうみても(安倍)比良裏……大蛇との戦いのために転生を続け、『泡沫に笑う』『曇天に笑う』とシリーズ皆勤(?)を果たしている人物なのですから。
 あるいは他人の空似ということもあるかと思いましたが、しかしこの巻でのある描写を見るに、やはりこの信長は比良裏の転生と思うべきなのでしょう。

 しかし少なくとも現時点では、大蛇打倒を志しているとは到底思えぬ信長。その信長に対して、佐吉の、「三成」の選択は……もちろん、期待に決して違わぬものなのですが、しかしそれに巻き込まれる者もおります。
 この巻の後半では、佐吉の数少ない友であり、巻物を託された大谷紀之介と、百地八它烏の一人・海臣が激突が描かれることになるのであります。

 ……正直に申し上げて、八它烏が登場すると話が長くなるので個人的には好きになれない(しかも今回は、紀之介には申し訳ないのですが主役級不在のバトル)のですが、曇の双子に仕える伊賀者・鬼平太という助っ人を絡めてのバトルはそれなりに面白い。
 しかも実は紀之介もまた大蛇を……? という捻った展開もあり、これ以上話が広がるのはどうかなあ、と思いつつも、やはり楽しんでしまうのもまた事実であります。
(しかし紀之介の後の名を考えれば、彼のアレはアレなのでしょう……)


 などと思っている間にも歴史は動き続け、迫るは信長による伊賀攻め。これに抗する急先鋒である百地丹波は、何故か芭恋の前に現れ、ある言葉を告げるのですが――
 いやはや、ここに来て、とんでもない爆弾が大爆発。果たしてこれが真実かはわかりませんが、一歩間違えれば、がらりと物語の勢力分布が変わりかねない内容ではあります。

 さて、これを受けての芭恋の選択は……全くもって気になるところで次の巻に続くのであります。


『煉獄に笑う』第6巻(唐々煙 マッグガーデンビーツコミックス) Amazon
煉獄に笑う 6 (マッグガーデンコミックス Beat'sシリーズ)


関連記事
 「煉獄に笑う」第1巻 三百年前の戦いに集う者たち
 『煉獄に笑う』第2巻 へいくわいもの、主人公として突っ走る
 唐々煙『煉獄に笑う』第3巻 二人の真意、二人の笑う理由
 唐々煙『煉獄に笑う』第4巻 天正婆娑羅活劇、第二幕突入!
 唐々煙『煉獄に笑う』第5巻 絶望の淵で現れた者

|

« 久保田香里『青き竜の伝説』 絶対的な存在などない世界で | トップページ | 『風雲ライオン丸』 第12話「地獄谷に恨みをはらせ!」 »

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/13655/65109378

この記事へのトラックバック一覧です: 唐々煙『煉獄に笑う』第6巻 誕生、曇三兄弟!?:

« 久保田香里『青き竜の伝説』 絶対的な存在などない世界で | トップページ | 『風雲ライオン丸』 第12話「地獄谷に恨みをはらせ!」 »