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2017.06.03

『風雲ライオン丸』 第16話「忍者の掟に明日はない!!」

 忍者たちを戦闘要員にするため各地を襲撃するマントル一族。甲賀も怪人ヤゴの襲撃を受け、頭領の三太夫が捕らえられる。三太夫の息子・小弥太は獅子丸の助力を断って単身父の救出に向かうが、ヤゴに敗れて自爆。獅子丸もヤゴの攻撃で失明してしまう。単身脱出した三太夫と出会った獅子丸だが……

 冒頭数分もかからず、ユニークかつ説得ある今回のマントル一族の狙いをきっちり説明するのにまず感心させられる今回。戦闘員として忍者を使うのは、史実の戦国時代を見てもむしろ自然であるといえるでしょう。
 しかし頭ごなしの命令に忍者たちが逆らうのもまた史実。マントル一族の計画に対し、反撃を試みる忍者たちの姿が冒頭で描かれますが、この辺りも、獅子丸の兄たちや、第12話の地獄党を見ていれば納得の描写です。

 さて、今回の中心となるのは甲賀忍者。その頭領・藤林三太夫(どこかで聞いたような名前……)を捕らえ、甲賀に命令させようと怪人ヤゴに指令を下すアグダーに対し、いきなりライオン丸が戦いを挑みます――が、アグダーは速攻で姿を消し、ヤゴが口から吐く白煙をくらって、ライオン丸は崖から転がり落ちるのでした。ちなみに以前からアグダー狙いに血道を上げていた錠之助は、一部始終を見物して「狙いはほめてやる」と上から目線であります。

 そして甲賀屋敷への攻撃を始めるヤゴと地虫たち。仕掛けだらけの忍者屋敷で、幾度もマントル側に奇襲を仕掛ける忍者たちは、かなり押しているように見えましたが……
 その一方、崖から転がり落ちてきた獅子丸は、通りかかった一人の青年と出会います。青年を甲賀者と見て、現在の状況を語る獅子丸ですが、三太夫の息子であった青年・小弥太は、父の安否を気遣うと、獅子丸を置いて甲賀屋敷に急ぎます。そして後から追いかけた獅子丸が見たものは、屍累々の屋敷――配下にするつもりの忍者をこれだけ殺してどうするのかと思いますが、ヤゴは既に三太夫を捕らえ、彼を拷問して、甲賀がマントルに味方するよう強いていたのです。

 そんな父を救うため、獅子丸の助けも借りず単身ヤゴに挑む小弥太。助太刀しようとする獅子丸ですが、そこに現れた錠之助は、小弥太が望んだことだと助太刀なしの尋常な勝負を行わせようとするのでした。しかしやはりこれは無謀、ヤゴの白煙は小弥太の体を化石のように固め、身動きできない彼を空から襲撃(久々の宙吊り飛行)。たまらず割って入った獅子丸も白煙で目を潰され、手の出せぬ間に、小弥太は自ら自爆して果てるのでした。
 さらに獅子丸にも刃を向けるヤゴは錠之助が退けたものの、小弥太を結果的に見殺しにした錠之助に収まらない獅子丸。「人に命を助けてもらうってことは、ひどく恥ずかしい思いをする時があるんじゃないか」と(自分が命を助けた獅子丸に)言い放つ錠之助に対し、「恥ずかしくても苦しくても、生きていくことが大事なんだ!」と、血を吐くように叫ぶ獅子丸の姿が心に刺さります。

 そして目が潰された状態で旅する中、自らマントル基地を脱出した三太夫と出会う獅子丸。小弥太の最期を聞かされた三太夫は、思うところがある様子ですが……そこに襲いかかってきたヤゴは、先程小弥太を封じた白煙で父親の動きも封じてしまいます。
 そして獅子丸は目が見えない状態で苦戦するものの、そのままロケット変身(獅子丸状態で目に巻いていた布が、変身後も巻かれているのは当たり前なのですがちょっと可愛い)、地虫を蹴散らしますが、ヤゴ相手には苦戦を強いられます。そこでヤゴに飛びついた三太夫は自分ごと刺せと叫びますが、獅子丸にそれができようはずもありません。そうこうするうちに力尽きた三太夫が地に崩れ落ちた瞬間、前転で近づいた獅子丸はヤゴの土手っ腹に刀を突き刺し、ヤゴは崖下に転落。カタルシスのないままヤゴは倒されるのでした。


 非情の掟に縛られた忍者という存在を挟み、武士の誇りを重んじる錠之助と、人間の命の尊さを説く獅子丸の思想対決が描かれる今回。答えを出すのが非常に難しい問題だけに、一層こちらの心を抉る物語であります。
 ちなみに今回のように、獅子丸がダメージを受けている間に(更に錠之助が状況を放置する/煽る間に)第三者が死んでいくというのは本作にしばしば見られる展開ですが、この辺りはやはり高際和雄節でしょうか。見るからに生真面目な若武者の潮哲也が苦悩する姿はえらく様になるのですが、見ているこちらもただただ曇らされるほかありません。


今回のマントル怪人
ヤゴ

 先が二股に別れた槍を持ち、口から相手の動きを封じる白煙を吐く怪人。名はヤゴだが空も飛ぶ。忍者を配下に引き入れるため甲賀を襲撃、頭領の三太夫を捕らえ、その息子を死に追いやるが、三太夫の死を賭した行動で出来た隙にライオン丸に腹を刺され、必殺技も使われずに倒された。


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