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2017.09.16

『風雲ライオン丸』を見終えて(前編)

 これまで全25話の紹介をさせていただいた『風雲ライオン丸』。その全編を通じての印象のまとめであります。

 特撮ヒーロー時代劇屈指の名作であることは誰もが認めるであろう『快傑ライオン丸』の後番組である本作。しかしライオン丸の名を冠し、主人公「獅子丸」を演じるのは前作と同じく潮哲也――でありつつも、前作の続編というわけではないという少々ややこしい立場の作品です。
 そのためか、本作は前作とは大きく異なる趣向を導入することになります。そう、「西部劇」のテイストを。

 ポンチョ風のコスチュームをまとった主人公、舞台の多くは延々と続く荒野、ライフルや幌馬車といった小道具等々……
 しかしそれが裏目に出て、視聴者や出演者にも違和感を感じさせた、という逸話は、それはそれで納得できるのですが、しかし今回見直してみて、個人的には言われているほど違和感があると感じなかったのは、一つの発見でした。

 そもそも時代劇と西部劇の組み合わせに親和性が高いのは、『用心棒』が『荒野の用心棒』に翻案されたり、その用心棒を思わせるキャラを主人公とした(本作の前後に放映された)三船プロの素浪人ものがあるのを上げるまでもないお話。
 それよりも時折登場する現代的な「超科学」の方がよほど違和感が――というのはさておき、本作の狙い自体は悪くはなかったと感じます。
(そもそも前作終盤にガンマン怪人たちが登場しているわけで……)

 あの時代に馬車や爆弾がゴロゴロしていたかと言えばまあアレなのですが、しかしひたすら砂と埃と岩が続く世界観は、人々の剥き出しのエゴが描かれ、人の命があっさりと奪われていく物語に、実によく似合う。
 さらにまた、第7話「最後の砦」のように、西部劇要素を時代劇に巧みに落とし込んでみせたエピソードもあることを考えれば、これは一種のアクセントとして認めるべきではないか――というのはやはり過大評価かもしれませんが。

 ちなみにある意味「超科学」であり、本作を語る際にネタ的に扱われる弾丸変身ですが、確かにロケットで天高く舞い上がり、戻ってくると変身しているというのは、悪い意味でインパクトが大きいのは否めません。
 しかし作中では精密機器ゆえロケットが故障して危機に陥るエピソードや、ロケットを利用して窮地を脱出する(洞窟からの水平脱出、変身しながらの空中の敵への一撃等)等、バンクシーンだけで終わらせない工夫が印象に残ります。

 特に印象に残るのは、数々の強烈な演出が飛び出した第19話「よみがえれ弾丸変身!!」でのシーンでしょう。苦悩の末に谷底に身を投げたかに見えた獅子丸が、落下途中で変身、大反転して宙高く舞うことでその精神の復活をも高らかに宣言してみせるくだりは、変身シークエンスと物語の盛り上がりを完璧に融合させたものとして、ヒーロー史上に残る変身シーン――あ、これも過大評価ですか。

 いずれにせよネタ的に(ネガティブな点から)取り上げられることも少なくない本作の趣向は、決してそれだけで終わるものではなく、一つ一つの場面、そして何よりも物語と有機的に結びつくことで大きな効果を上げている(ことも少なくない)ことは声を大にして申し上げてもよいでしょう。

 そしてそれが本作のハードな物語展開と噛み合った時、最大限の効果を発揮するものであり――そこに生まれたものは、前作から繋がる豊かなドラマ性を、さらに押し進めてみせたものと言えるでしょう。
 もちろんそれを曇り方面に押し進めすぎたきらいは否めませんが……


 それでは本作が手放しで絶賛できる作品かといえば――以下、次回に続きます。


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