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2017.09.03

漫画版『鬼船の城塞』連載開始! +

 『コミック乱』誌の10月号から、菊地昭夫を作画担当として、鳴神響一の『鬼船の城塞』の漫画化がスタートしました。気宇壮大な海洋冒険活劇の漫画化、そして何よりも作者にとって初の漫画化とあって、ファンとしては大いに気になる作品であります。

 この『鬼船の城塞』は、第6回角川春樹小説賞を受賞した『私が愛したサムライの娘』に次ぐ、作者のメジャーデビュー第2作目。
 時は江戸時代中期の寛保年間、煙硝探索の命を受けて伊豆諸島近海を回っていた鉄砲玉薬奉行・鏑木信之介が、謎の「鬼船」に遭遇したことから、この物語は始まります。

 信之介の乗る船に突っ込んできた鬼船の正体は、阿蘭党を名乗る海賊たちが乗る巨船。容赦なく彼の下役を屠っていく阿蘭党に対して正々堂々の一騎打ちを望んだ信之介は、阿蘭党の巨漢・鵜飼荘十郎を向こうに回して決死の戦いを繰り広げることに……
 と、40ページの大ボリュームで描かれたこの第1回は、物語のプロローグとも言うべき部分。

 原作では冒頭に、日本近海で「鬼船」の目撃が相次ぐことが語られていたように記憶していますが、この漫画版ではほとんど前置きなしに鬼船を出現させることで大きなインパクトを与え、そしてそのまま阿蘭党の凶行に雪崩れ込むという、勢い重視の内容となっている印象です。
 この辺りはもちろん、漫画というメディアの特性を踏まえたものでしょう。

 恥ずかしながら作画者の作品はこれまで読んだことがなかったのですが、その全容を容易に窺わせない鬼船の不気味さ、そして剽悍な阿蘭党の姿などを見事にビジュアル化しているという印象です。
 何より、今回のクライマックスとも言える信之介と荘十郎の決闘シーンもかなりの迫力であります。

 そして個人的には何より嬉しいのは、それでいて劇画的なだけでなく、キャラクターのビジュアルが良い意味で適度に漫画的な点。
 凜々しい信之介はもちろんのこと、阿蘭党の大将たる梶原兵庫の長髪美形っぷり、そしてまだ名前も登場していないヒロインの美しさと、外連味あふれる物語には似合ったキャラたちには好感が持てます。

 冒頭に述べたように、物語はまだまだプロローグ、本作の最大の魅力たる物語のスケールはこれからどんどんと広がっていくわけですが――この第1話であれば、まずはその点も安心して見ていられるのではないかと感じます。


 なお、前号でも大いに話題となったレジェンド作家・植木金矢の新作が、この10月号にも掲載されています。
 『真贋巌流島』と題された本作は、一乗寺下り松の決闘を経て道に迷う武蔵が、巌流島で佐々木小次郎との決闘に臨むも――という内容。

 記録に残る小次郎の経歴と年齢の矛盾を巧みに物語に取り入れつつ、老達人との決闘を経て兵法の道の先に歩みを進める武蔵の姿を描く端正な画が印象に残る作品で、こちらも必見であります。


『鬼船の城塞』(菊地昭夫&鳴神響一 『コミック乱』2017年10月号) Amazon
コミック乱 2017年10月号 [雑誌]


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