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2017.12.28

野田サトル『ゴールデンカムイ』第12巻 ドキッ! 男だらけの地獄絵図!?

 いよいよ2018年4月からアニメ放映スタートと、秒読み段階に入った『ゴールデンカムイ』の最新巻であります――が、この巻で繰り広げられるのは、およそアニメ化できない(されても嬉しくない)ようなエピソードの連続。変態と男の裸体が乱舞する、悪夢のような展開が繰り広げられることになります。

 黄金争奪戦の全ての始まりとなった怪人のっぺら坊――網走監獄で厳重に監視される彼こそが、実はアシリパの父ではないかという疑惑を確かめるため、網走に向かうこととなった杉元・土方混成チーム。
 色々あってメンバーをシャッフルしたまま二チームに分裂した彼らを追ってきた谷垣が、土地のアイヌから動物たちを汚したという濡れ衣を着せられたため、杉元とアシリパはその真犯人を追うことに……

 という前の巻を受けて始まるこの巻ですが、杉元たちが追うことになるのは、刺青囚人の一人・姉畑支遁。動物学者である彼は、自分の愛情の赴くまま、動物たちを追っては獣k――あ、いや、ウコチャヌプコロを繰り返していたのであります。
 そしていま、ヒグマに恋してしまった支遁が、ヒグマ相手にウコチャヌプコロしようとして食い殺される(刺青が失われる)ことを恐れた杉元たちは、必死に彼を止めようとするのですが……

 と冒頭から「もうやだこのマンガ」な展開ですが、何とか谷垣もチームに合流し、いい話的に終わって一安心、釧路に出て海で一時の平穏とグルメ展開を――と思いきや、そのグルメが次なる大波乱を招くことになるから恐ろしい。

 思わぬ蝗害の発生に番屋に閉じ込められたチームの男衆が、空腹を癒すためにラッコの肉を煮てみれば――その煮える臭いに欲情を刺激する成分が含まれていたために、一触即発のムードに……!
 と、本当にもう、この漫画をどこに連れていきたいのか、という大変な展開であります。(しっかりとめておいたはずの谷垣のシャツのボタンが吹っ飛び「このマタギ……スケベ過ぎる!!」という白石のリアクションは爆笑)

 しかしそれと並行して、インカラマッの口からアシリパに対して、のっぺら坊の正体とアシリパの父・ウイルクの死の「真実」が語られ、それが新たなサスペンスに繋がっていくのですから、まったく油断できません。
 そしてその中で、幼い頃にウイルクと出会ったというインカラマッの想い、さらにアシリパがそれに自分と杉元を重ね合わせるなど、キャラクターの心理描写も相変わらず上手い。

 そしてその末にチーム内に、そして何よりもこれから自分たちが向かう網走に待つものに疑念を抱かせるという展開も、見事というほかないのであります。
(もっとも、大変な展開のきっかけになった蝗害が、今のところその前フリにしかなっていなかったのには悪い意味で驚きますが……)


 それでもなんとか、杉元の一同ドン引きのキラージョークに紛らわせて旅は続き、塘路湖を訪れた杉元一行が知ったのは、近辺を荒らし回るという全員盲目の盗賊団の存在。そしてその頭目の身体には奇妙な入れ墨が……
 と、ここで新たな強豪刺青囚人が登場、網走を前にしてまた盛り上がる展開が! と思いきや、何故かチームの男衆による温泉回が繰り広げられ(見開きで何故か全員カメラ目線の衝撃)、最後の最後までアニメ目前とは思えないこの巻なのであります。


 しかしその一方で、網走監獄では典獄の犬童四郎助と鶴見中尉一派との暗闘が早くもスタートし、その一方で土方と永倉は、釧路新聞社で記者をしていた石川啄木(!!)と接触――と、物語は着々と進行。
 いよいよ次巻では杉元たちも網走監獄に到着するようですが、あるいは杉元・鶴見・土方に加えて犬童一派の四つ巴の戦いが展開されるのか!? 

 そして本作では比較的珍しい実在人物、そして何よりもナニっぷりでは本作のキャラクターに勝るとも劣らぬ石川啄木登場の意味は……
 色々言いつつも、この先の展開を展開して、胸躍らせているところであります。


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