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2017.12.29

友野詳『ジャバウォック Ⅱ 真田冥忍帖』 決着、真田大介vs十幽鬼!

 信長により魔界の蓋が開き、奇怪な妖魔妖術が世を席巻した魔界戦国――その締めくくりと言うべき大坂の陣から十年後、今またこの世に魔界をもたらさんとする者たちに対して真田大介が挑む伝奇アクションの第2巻にして完結編であります。果たして魔王と十幽鬼が狙う豊臣の黄金の正体とは……

 大坂の陣で豊臣家が滅び、魔界戦国の世が終結してから十年――本多家に嫁した千姫を狙う、十幽鬼を名乗る魔人たち。千姫を守り、その魔人たちに挑むのは、生きていた真田大介――同じく大坂城を脱し、儚くも身罷った主・秀頼の命を受けた彼は、千姫と彼女がその秘密を知るという豊臣の黄金を守るため、再び姿を現したのであります。

 その前に立ち塞がる十幽鬼ことは、大介のかつての師であり仲間であり友であった十勇士のなれの果て。大坂の陣で命を落とし、世界中の悪神たちを見に宿して甦った彼らに加え、さらにやはり悪神を宿した大介の妹・茜までもが現れます。
 大介は、千姫付の蜘蛛糸使いのくノ一・あとら、そして謎の伊賀忍者・四貫目とともに、千姫を守って死闘を繰り広げ、辛くも十幽鬼のうち二人と茜を倒したのですが……


 という第1巻を受けて始まる本作の冒頭で描かれるのは、茜の力によって大介が目の当たりにした、彼女が体験した最期の刻――すなわち大坂落城の姿。
 そもそも、父・幸村に率いられ、魔界戦国を終わらせるために戦っていた十勇士と茜が、何故その尖兵と成り果てたのか。そしてこの戦いの陰で糸を引く者は――それがここでは語られることとなるのです。

 しかし、大介が記憶の世界を彷徨う間も、事態はいよいよ悪化していきます。千姫を狙い「天馬城」の異名を持つ(この異名の由来は伝奇ファンなら思わずニッコリ)真田信之の城を十幽鬼が襲撃してきたのであります。
 大介の意識が戻らぬ中、追い詰められていくあとらと四貫目。そして記憶の世界でも、大介の精神には大きな危機が……


 と、開幕からいきなり全力疾走状態の本作。三好ベールゼバブ伊佐入道、由利カーリー鎌之助、海野テトカポリトカ六郎、三好ダゴン清海入道――と、名前を見ただけでこちらの体温が上がりそうな連中が次々登場するだけでテンションが大いに上がります。
 ただでさえ個性的な十勇士いや十幽鬼が、世界中の魔神の力を手にして大暴れするのですからこれが盛り上がらないはずがない。この天馬城の死闘だけで普通の作品のクライマックス並みなのですが、しかしそこから物語は意外な場所に舞台を移すことになります。

 そこでもなおも続く大介たちと十幽鬼たちとの戦い。その中で意外な形で復活を果たした魔王に対し、これまた意外な正体を現したある人物の力を借りて、大介は最後の決戦に臨むことになります。
 そして登場した十幽鬼最後の切り札、恐るべき巨体と魔力を誇る最強の怪物を前に打つ手はあるのか。そして信長が求め、秀頼が封じた豊臣の黄金の正体とは!?

 ……ってそれか! 黄金ってそれなのか! と叫びたくなるラストバトルは、良い意味でツッコミどころの塊。もう最後の最後まで、とんでもない作品なのであります。


 正直なことを、申し上げれば、前作に比べて十幽鬼たちがあっけない――というよりも駆け足で終わった印象はあります。
 この点はまあ、物語の流れと考えるべきかと思いますが(事実、とてつもない化け物を次々とブッ潰していくのはかなり爽快)、ラストバトルをはじめ、色々とやりすぎと感じる方はいるかもしれません。

 しかし本作は、本作の舞台となった魔界戦国という世界は、そのやりすぎを可能にするためのものなのだから仕方がありません。そのやりすぎを正面から受け止めて、ツッコミを入れながら大いに楽しむのが、本作の楽しみ方と言うべきでしょう。
 それは、時代ものに馴染みのない、ともすれば拒否反応を示しかねない層を、この素晴らしい時代伝奇の世界に誘うための仕掛けでもあるのでしょうから。

 もっとも、その仕掛けが逆に、二昔前の伝奇バイオレンス的な描写も相まって、プロパーの時代ものファンを引かせてしまったのではないか――という印象もあるのですが……
(そもそもこれくらいであれば、魔界戦国でなくても出来たのでは、というのは頭のおかしい時代伝奇ファンの戯言として)


 などと言いつつも、最後まで一気呵成に楽しませていただいた本作。ラストに登場するあの人物の存在も実に面白いことですし、もう一丁、と言いたくなってしまう気持ちは確かにあるのです。


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