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2018.01.20

「コミック乱ツインズ」2018年2月号(その一)

 今年最初の『コミック乱ツインズ』は、連載再開の『鬼役』が表紙ですが、なんと言っても注目は巻頭カラーで新連載の『カムヤライド』。この作品をはじめとして今回も、印象に残った作品を一つずつ紹介していきましょう。

『カムヤライド』(久正人)
 というわけで最注目の新連載の本作、独特のビジュアルとアイディアで熱狂的なファンを持つ作者は、これがもちろん本誌初登場ですが、物語の舞台も、これまた本誌初であろう古墳時代。そして主人公は鎧装ヒーローという、実際にその目で見てみなければ信じられない作品です。

 200年前の天孫降臨(という名の巨大隕石落下?)によって、九州を離れたヤマト族が、列島の中心に強大なクニを樹立した畿内を中心とする国家を樹立した4世紀。しかし各地ではヤマトへの反乱が相次ぎ、ヤマトの皇子・オウスは、九州を騒がす熊襲の王・カワカミタケルの討伐に向かうことになります。

 しかしオウスの前に現れたタケルは、巨大な蜘蛛が入り交じったような異形の怪物。その恐るべき力にオウスは配下を皆殺しにされ、追い詰められることになります。
 と、そこに現れたのは、オウスが旅の途中で出会った、道ばたで埴輪なる人形を売っていた奇妙な男・モンコ――そしてモンコは、鎧をまとった戦士・神逐人(カムヤライド)の姿に変身して……!

 というわけで、古代を舞台とした変身ヒーローアクションとも言うべき本作。最近はスーパー戦隊ものにデザイナーとして参加しているから、というわけではないと思いますが、外連味のたっぷり効いた台詞回しとアクションには、濃厚な特撮風味が漂います。

 かつて封印されたものの今また眠りから覚めた異形の国津神、そしてそれを封印する者・神逐人という設定も面白いのですが、しかしどこかで見たようなクマめいた外観の国津神、オウスはいきなり緊縛触手責め、そして、モンコの「芸術(わざすべ)は爆発だ(はぜたちぬ)!!」などという怪台詞ありと、第1話から飛ばしっぱなし。
 それでいて「俺の立つここが境界線だ!」「ここより人の世 神様立ち入り禁止だ」という決め台詞(?)から繰り出す封印キックは、ギミックも含めて実に格好良く、まずは快調な滑り出しであります。

 本誌の読者層とマッチするかはさておき、個人的には大歓迎の作品であります。


『薄墨主水地獄帖 獣の館)(小島剛夕)
 今号も登場の小島剛夕の名作復刻特別企画は、作者が昭和44年から46年にかけて発表した、地獄から来た男と嘯く謎の素浪人・薄墨主水を主人公とする連作シリーズの一編です。

 主水が訪れた城下町で跳梁する婦女暴行殺人鬼。その怪人と剣を交えた主水は、残された着物の切れ端を手がかりに、ある名家を訪ねることになります。そこに暮らすのは気弱そうな青年と、彼を溺愛する美しい母、そして二人にかしずく青年の妻。屋敷に泊まった主水は、そこで三人の異常な関係を目の当たりにするのですが……

 どことなく柴練ヒーローを思わせる着流し総髪のニヒルな浪人の主水ですが、ユニークなのは、彼が白面の美形などではなく、むしろ悪相の不気味な男であること。
 そんな彼だからこそ、本作で描かれる奇怪な人間関係を断ずるに相応しい――と感じさせる一方で、彼の、そして読者の予想を遙かに上回る異常な精神の存在を描く結末に驚かされるのです。

 ちなみに本作、当然のような顔をして主水が登場するのですが、実はシリーズ第1話とのことで、こちらにも驚かされました。


『桜桃小町』(原秀則&三冬恋)
 公儀の隠密仕事を請け負う美人姉妹・桃香と桜紅の活躍を描く物語の第二話です。
 前回、旗本の長男・佑馬と花魁・黄瀬川の恋路を助けるため、二人の間を裂くという依頼を無視して黄瀬川を助けた桃香。これで一件落着かと思いきや、まだやることがあるという彼女の真意は……

 というわけで今回描かれるのは、佑馬サイドの物語対面を重んじる父によって座敷牢に入れられた佑馬の元に忍んだ桃香が、彼に対して与えたモノとは……という展開は予定調和的ではありますが、自分で手を下せば簡単なものを、敢えて回り道することで男の真意を試すというのは、なるほど女性主人公ならではの視点というべきでしょうか。。

 相変わらず主人公の公儀隠密としての設定は謎ですが、魅力的な物語ではあります。


 残りの作品はまた明日。


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