« 山田睦月『コランタン号の航海 フィドラーズ・グリーン』 インドから最後の戦いへ、最後の航海へ | トップページ | 野田サトル『ゴールデンカムイ』第13巻 潜入、網走監獄! そして死闘の始まりへ »

2018.03.26

唐々煙『煉獄に笑う』第8巻 伊賀の乱の混沌に集う者、散る者

 アニメ、舞台ときて今度は実写映画公開と絶好調の『曇天に笑う』、その前日譚も絶好調で巻を重ねてついに第8巻。物語がどこに落着するのか全く見えない中、第二次天正伊賀の乱を舞台に、曇の双子が、大蛇の候補者たちが引き裂かれ、死闘を繰り広げることになります。

 織田と伊賀の決戦が始まる直前に姿を現した魔人・百地丹波から息子だと告げられ、その誘いに乗って伊賀に向かった芭恋。
 阿国には伊賀潜入のためと語ったものの、丹波から指揮権を与えられた芭恋は戦場でその才を発揮、自らが得た力の大きさを知った彼は、これまでと異なる表情を見せることになります。

 彼の変貌を知らぬまま、織田軍に潜入した阿国、そして信長の小姓として従軍する佐吉。さらに大蛇を求めて跳梁する安倍晴鳴は、器候補の一人・国友藤兵衛を標的に定めて……


 と、ようやく本格開戦となった第二次天正伊賀の乱。誕生したばかりの曇の義兄弟「石田三成」もあっさり敵味方に散り散りとなり、さらにこれまで登場した各勢力・各キャラクターも各陣営に散らばって、混沌としか言いようのない状態であります。

 しかしそんな状況の中で、台風の目が芭恋であることは間違いありません。
 丹波の爆弾発言を受けて伊賀に潜入した芭恋ですが、しかしこれまで殺し合いを演じていた八咫烏に囲まれて四面楚歌状態。さらに丹波が煽っているとしか思えない後継者宣言をしたものですからさあ大変――と思いきや、意外な将の器を見せ始めたことで、別の意味で大変なことになります。

 その人懐っこさで下忍たちも惹きつけ、一夜にして変幻自在の陣を作り上げた芭恋。
 その策でもって相変わらずのバカボンぶりを発揮する信雄の軍を翻弄し、巻き込まれた藤兵衛の前に現れた芭恋は、いのうえ歌舞伎の一幕目終わりのような見事な裏切り展開を見せることになります。

 もちろん芭恋が何も考えずにそんなことをするわけもないのですが、しかし運命(というか晴鳴)の悪意は藤兵衛と仲間たちに残酷な結末を用意することに……
 と、この辺りの展開はお約束とはいえ、ああもう、ちゃんと説明しないから! とやきもきさせられるのですが、しかし最近強烈なキャラばかりで一歩引いていた印象があった国友衆を大いに魅せてくれた展開であることは間違いないでしょう。

 その代償は果てしなく大きく、そして今後に禍根を残したわけですが。


 そんな混沌とした展開が続く中、信長付き――ということは戦場から遠く離れることとなった佐吉。それでも阿国から異変を聞いて飛び出そうとする根性は見事ですが、そこでついにあの男が動き出すことになります。

 それは織田信長――ビジュアル的にはどうみても比良裏の転生でありながら、しかし言動は魔王という、これまでのシリーズ読者にとっては一番の謎であった彼は一体何者なのか?
 百地の刺客が迫る中、おそらくは物語のカギを握るであろう彼が、佐吉の前で何を見せるのか――伊賀の乱の行方以上に気になる展開を見せて次巻に続くというのが、何とも心憎いところであります。


『煉獄に笑う』第8巻(唐々煙 マッグガーデンビーツコミックス) Amazon
煉獄に笑う 8 (Beat's コミックス)


関連記事
 「煉獄に笑う」第1巻 三百年前の戦いに集う者たち
 『煉獄に笑う』第2巻 へいくわいもの、主人公として突っ走る
 唐々煙『煉獄に笑う』第3巻 二人の真意、二人の笑う理由
 唐々煙『煉獄に笑う』第4巻 天正婆娑羅活劇、第二幕突入!
 唐々煙『煉獄に笑う』第5巻 絶望の淵で現れた者
 唐々煙『煉獄に笑う』第6巻 誕生、曇三兄弟!?
 唐々煙『煉獄に笑う』第7巻 開戦、第二次伊賀の乱!

|

« 山田睦月『コランタン号の航海 フィドラーズ・グリーン』 インドから最後の戦いへ、最後の航海へ | トップページ | 野田サトル『ゴールデンカムイ』第13巻 潜入、網走監獄! そして死闘の始まりへ »

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/13655/66538316

この記事へのトラックバック一覧です: 唐々煙『煉獄に笑う』第8巻 伊賀の乱の混沌に集う者、散る者:

« 山田睦月『コランタン号の航海 フィドラーズ・グリーン』 インドから最後の戦いへ、最後の航海へ | トップページ | 野田サトル『ゴールデンカムイ』第13巻 潜入、網走監獄! そして死闘の始まりへ »