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2018.05.12

宇野比呂士『天空の覇者Z』第3巻 激突、巨大空中兵器の死闘!

 アンジェリーナを救出し、Zに合流した天馬一行。しかしそこにクブリック提督が指揮する巨大空中戦艦「G」が襲いかかる。これまでに多大な被害を受けていたZは苦戦するが、ネモの奇策によって逆転、Gの撃退に成功する。そしてT鉱奪取のためムッソリーニ邸に潜入した天馬の前にあの男が現れる……

 流星の剣の一撃で獣化したゲシュタポ将校を斃した天馬。獣人とはいえ人を斬ったことを悔やむ天馬ですが、その暇もなく次々と襲いかかる鉤十字騎士団をJとの抜群のコンビネーションで蹴散らし、救援に現れたZに何とか合流に成功します。
 そしてアンジェリーナの協力により、既に獣性腫瘍が危険な状態となったルーの手術も始まるのですが、そこに現れたのは巨大な敵影――Zと並びルフトバッフェ空中艦隊構想の中核を成す超巨人機・G!!

 Z計画責任者であり、今はヒトラーの命でZを追うインゲ・ベイルマン局長と、誇り高き荒鷲の異名を持つエーリッヒ・フォン・クブリック提督が乗り込んだG。スチームに紛れての接近からドリル付きのワイヤーを打ち込んで動きを止め、さらにガス管を打ち込んでそこから神経ガスを注入、最小の労力でZを制圧せんとするクブリックの策の前に、Zの運命は風前の灯火に……
 と、そこでネモの命を受けて飛び出したのは、タイガー号に乗ったJと天馬。Jのブーメラン剣でパイロットを斬るという無茶を駆使して敵機を抜き、そしてガス管に対して天馬の刀が一閃! ついにZへのガス注入を止めることに成功いたします。

 しかしまだZはGに捕らえられたまま、そして傷ついたZには再度のZ砲発射に耐えられるだけの耐久度はない――が、ワイヤーで固定されたことを逆用してZ砲充填を開始するネモ。さしものGも至近距離からのZ砲をくらってはひとたまりもない――はずですが、何とクブリックは左右時間差でワイヤーを外すことで機体を回転、Z砲を外してみせるという離れ業をみせます。
 ついに万策尽きたかに見えたZ。しかしネモの真の狙いはアルプスの山、Z砲を食らって破壊された山塊はZの上に位置したGを直撃、さしものGも耐えきれずに撤退を余儀なくされるのでした。

 ついにアルプスを越えたZ。ルーの手術も、アンジェリーナの持つ獣性細胞への抗体によって成功し、JたちもZと別れを告げるのですが――しかしただ一機、こんな大きなお宝を見逃す手はないなどとツンデレなことを言いながら戻ってきたJ。Jとエリカを加え、Zはイタリアに向かうことになります。

 そしてイタリアに極秘裏に作られたドックで改修・改造を施されるZですが、しかし命とも言うべきZ鉱は既に艦内には残っておらず、外部からの調達が必要な状態であります。かくてかつての戦友の依頼を受けて、ドイツからイタリアに運び込まれたZ鉱の行方を追うことになったギヌメール隊長。
 その矢先に脱走して上陸したものの隊長に捕まったアンジェリーナと天馬は、ムッソリーニ亭の仮面舞踏会に潜入することになるのですが――成り行きからムッソリーニ、そして謎の仮面の青年とポーカーをプレイすることになります。ゲームは白熱し、ついにサシの勝負となった仮面の青年に対し、天馬は自分の愛刀を賭ける代わりに、その仮面を外すことを賭けるように迫ります。

 大勝負に自ら負けるように仕向け、仮面を外す青年。その下の素顔は真のヒトラー――しかし初対面のはずのヒトラーの顔を見た天馬に戦慄が走ります。かつて何故か日本を離れ、ボロボロになった末にギヌメール隊長に拾われた天馬。ヒトラーこそは、その「何故」と密接に関わる者だったのですから……


 第2巻の後半からこの巻の中盤にかけて、アルプスを舞台に目まぐるしく展開してきた本作。その中でJ、エリカ、クブリックと、後々まで物語で重要な位置を占めるキャラが登場しますが、これほど早くの登場であったかと、今読んでみると驚かされます。

 そしてこの巻ではついにZとG、二つの巨大空中兵器が激突。第2巻の紹介で申し上げたように、本作のバトルは三つのレイヤーが存在するのですが――一つは等身大戦、二つ目は戦闘機による空中戦、そして三つ目がこの空中戦艦同士なのであります。
 ここで本格的に登場したこの三つ目の戦いは、互いが強大な攻撃力を持つ(そして小回りが効かない)中で如何に相手に大打撃を与えるか、という観点で展開されるのが実に面白く、エキサイティング。何よりもそのプレイヤーたるネモとクブリック、二人の名将の読み合いが実に面白くで、本作ならではのバトルの醍醐味がここにはあります。

 そしてもう一つ、この巻の冒頭で描かれた天馬の過去の謎の一端が、巻末の展開に直結していく構成にも、やはり唸らされるところでありますが――その詳細は次巻で描かれることになります。


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