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2018.06.16

宇野比呂士『天空の覇者Z』第8巻 激闘カラクーム砂漠 そして理解不能の事態へ

 カラクーム砂漠上空でゴグマゴグの奇襲を受け、ダメージを受けたZ。Z航空隊もリヒトホーフェンとヴァルキュリア戦隊に追い詰められる中、アンジェリーナの乗る新・天翔馬号が天馬に新たな力をもたらす。そして死闘の最中、砂漠の下から姿を表す伝説の都市・ラルカナルタ。しかしそこにいたのは……

 いきなり決戦開始早々、クブリック提督の「砂漠の蜃気楼」作戦により左舷に大ダメージを受けたZ。お互い反重力兵器のチャージ時間に入り、正面からの砲撃戦に突入するZとゴグマゴグですが――一方、戦闘機同士の空中戦では、ようやく覇気を取り戻した天馬と、Jの力で形勢逆転。さらにギヌメール隊長の指揮により、残りの機体も鉄壁の防御陣であるラフベリー円陣を組み、逆転の機会を狙うことになります。
 が、そこに突如襲いかかる四機の機体。天翔ける星マルセイユ、戦場の薔薇リップフェルト、大空の重戦車バルクホルン、電光石火の鷹キルシュナー――彼らこそはヒトラー直属のヴァルキュリア戦隊であります。

 Jの動きすらも捉える予測偏差射撃を放つマルセイユ。複数の重火器を同時に操るバルクホルン。急降下と急上昇による奇襲を仕掛けるリップフェルト。触角で外部の状況を完全に捉えるキルシュナー。ヒトラーから与えられた異能を操る彼らの攻撃により、Z航空隊は大打撃を受けることとなります。
 そして天馬に襲いかかるのはリヒトホーフェン。空中旋回しながら狙って射撃を当てるというという、神がかった攻撃を放つリヒトホーフェンに、さすがの天馬も追い詰められるのですが――そこに突っ込んできたのは新・天翔馬号、乗るのはアンジェリーナ!

 パイロットとしてはド素人のアンジェリーナですが、ウェルがかねてより用意してきた新型機のパワーは絶大。さしものレッド・バロンにも一瞬の隙が生まれますが――しかしそれ以上に天馬にとっては、深く落ち込んでいたアンジェリーナが自分のために立ち上がってくれたという事実こそが大きな力を与えてくれます。空中で機体から機体へ乗り移るという無茶をこなして新・天翔馬号に乗り込んだ天馬は、勇気百倍で反撃に出るのでした。
 そんな中、ついに反重力兵器のチャージも完了したZとゴグマゴグ。しかしZは一門、ゴグマゴグは二門とその差は歴然としている中、ネモはZ砲をどのように使うのか? 戦場全体が固唾を呑んで見守る中で放たれたZ砲に対し、スイスでの対決でこれを避けたことで敗北したクブリックは、動けず直撃を食らったかに見えたのですが――その直前にG砲を放つことで反重力球同士をぶつけて弾くという、反重力球ビリヤード先方で完全回避に成功。もはやZには打つ手なしと思いきや……

 弾かれたZ砲の反重力球が向かった先は、ヴァルキュリア戦隊がZ航空隊を襲う空域。さしものヴ隊もこれには撤退を余儀なくされる中、Z航空隊はZへの帰還のチャンスを得ます。そしてG砲の反重力球が向かった先は地表――砂漠の砂が吹き飛ばされたそこから現れたのは、巨大な隕石とその周囲の古代都市の遺跡――カラクームにかつて落下したT鉱隕石の周りに造られたという、伝説の王宮都市・ラルカナルタ。これこそがネモの真の狙いだったのであります。
 と、ここでネモとヒトラーがかつてこの地を訪れたこと、そして二人がかつては志を同じくしていたと語られるのですが――さてその志の内容が何で、そして何故それをネモは捨てたのか? いやそもそも、この都市の出現が今どのような意味を持つのか? 結局はぐらかされただけの印象ですが、先行きが一気に不透明になったことは間違いありません。

 そして激しく一騎打ちを繰り広げる天馬&アンジェリーナとリヒトホーフェン。リヒトホーフェンはヒトラーに与えられた生体感覚時間を自在に操作する能力により(ここで語られる疑似科学的ロジックが実に楽しい)、時間の支配の外側に立った人間として天馬を翻弄するのですが――しかしその彼の動きを察知できる人間が一人だけいます。そう、アンジェリーナが。そして彼女の瞳に映る機影を目にした天馬もまたその動きを捉え、ついに完全に互角の立場に立ったかと思われたその時!

 そこで理解不能の事態が発生します。つい数分前まで砂に埋もれていたはずの古代都市の中に、佇む人影がいたのであります。それもボンデージ姿の、なんか古代の柱に埋まってそうなごつい長髪姿の――というのはさておき、その男が現れた瞬間、遠く離れたベルリンではヒトラーが天馬に斬られた傷から血を吹き、そしてネモの失われた側の目からは獣性細胞が吹き出したのであります。
 そして何処ともしれぬ空間に引きずり込まれた天馬とアンジェリーナの前には謎の男が現れて……

 連載で読んでいた時には、本当に理解を絶していたこの巻の終盤の展開。このまま終わってしまうのでは、と怯えたものですが――大丈夫、丁度ここが全16巻の折り返し地点であります。というわけで以下、さらに想像を絶する展開の次巻に続きます。


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