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2018.08.16

『つくもがみ貸します』 第二幕「梔子」

 古美術商の浜松屋から、店の掛け軸の絵が夜毎入れ替わるという相談を受けた清次。店のつくもがみたちを使って調べた清次は、掛け軸たちがつくもがみであり、美しい女性のつくもがみを巡り、一番を決めるために争っていたことを知る。女性の正体に思い当たった清次は一計を案じて……

 早速オリジナルストーリーの第2話のタイトルは「梔子」――赤みがかった黄色を月の色に見立てたものか、出雲屋のつくもがみの一人・月夜見の主役回でもあります。

 前回登場した佐々木勝三郎の紹介で店を訪れた古美術商の浜松屋から、損料屋の仕事ではなく相談事を受けることとなった清次とお紅。店の掛け軸の絵が、夜毎変わっているというのですが――これは損料屋の仕事ではないと清次が断ろうとするところをお紅がホイホイと引き受けてしまったため、仕方なく清次は浜松屋に行くことになります。

 と、先々代から伝わるというその掛け軸だけでなく絵巻物や絵草紙まで、見てみれば確かに中の絵がおかしなことになっていたのであります。
 源氏物語の中の光源氏は虎と戯れ、その虎と戦っていたはずの加藤清正は鶴と一緒に桃太郎の絵巻物の中に現れ、その絵巻物で犬猿雉を従えているのは源義経で――果たして誰がすり替えているのか、妖の仕業なのか、浜松屋は夜が明けると掛け軸の絵が変わっている原因を突き止めて欲しいというのでした。
 これは面白いと今回はノリノリのつくもがみたちを浜松屋に貸し出して調べようとする清次ですが、その時に合わせ、蘇芳という香炉を探してほしいと浜松屋に依頼するお紅。むしろこれこそが彼女の目的のようでしたが……

 何はともあれ、浜松屋の蔵に潜り込んだつくもがみたちが見たのは、源義経(というか牛若丸)に加藤清正(何だか原作イラストの三木謙次タッチなのがおかしい)、さらに光源氏が、最も優れた男を競い合う姿。どうやら一晩中争った末に、朝になって慌てて戻ろうとして、戻る先を間違えていたのが今回の騒動だったのです。
 日頃掛け軸としての自分に誇りを持っている月夜見は、同胞たちのそんな醜態に怒り心頭、さらに大した事のない掛け軸――というようなことを言われて大爆発を起こすかと思えば、何故か巻物に戻ってしまうのでした。と――そんなところに現れたのは一人の美しい女性のつくもがみ。どうやらつくもがみたちは彼女を巡って争っていたようですが、彼女は周囲の騒ぎに構うことなく、窓から外を見つめて憂いの表情を見せるのでした。

 さて、そんな状況を把握したものの、さすがに浜松屋に真実をそのまま話すわけにいかず、悩む清次。浜松屋から帰って以来、月夜見の様子もおかしいのですが、それをスルーしようとする清次にお紅は不満げです。
 それはさておき、本業の仕事で勝三郎のことを訪れることになった清次。茶会で使う花器を探しているという勝三郎ですが、茶会といえば掛け軸は付き物、清次は満月の掛け軸――すなわち月夜見の正体――の意味合いについて訪ねます。満月の掛け軸は秋の、それも夜にしか使えないが、しかし本物の月が出ているのにわざわざ掛け軸を出す必要もない――と、実は満月の掛け軸は用途に乏しいと語る勝三郎。これまで色々なところで使われてきた自慢してきた月夜見ですが、実はそれは嘘、あまり使われなかったという劣等感の現れであったことを、清次は知ります。

 そして勝三郎の花器を店で探している時に竹の花器を見つけ、あることに気づいた清次は、浜松屋に今晩掛け軸を指定した場所にかけて欲しいと頼むのですが……
 その晩も蔵の中に現れ、窓から外を見る美女のつくもがみ。しかしその晩、窓の外にあったのは輝く満月――の掛け軸。言うまでもなくこれは月夜見、美女の正体が竹取物語の絵物語のかぐや姫であること、そして植木のために窓から外が、空が見えなくなっていたことに気づいた清次の図らいであります。

 果たして蔵のつくもがみたちの争いも収まり、月夜見の面目も保たれて一件落着。そして清次は浜松屋から、満月の掛け軸は実は風流な使い方ができる(その具体例がなかったのはちょっと残念)ものだと説明を受け、さらに月夜見が狩野永徳の叔父のものであったと聞かされ、譲って欲しいと言われるのですが――損料屋はあくまでも品物を貸すもの、お売りできませんということで、今回は一件落着であります。


 冒頭に述べたとおり、原作にないオリジナルストーリーの今回。事件に人間側の事情はほとんど全く関わりなく、品物=つくもがみ側のみで物語がクローズするのは、ちょっと原作の方向性とは異なるかな、という印象はあります。
 ちなみに前回は野鉄、今回は月夜見と、このアニメ版は出雲屋のつくもがみたちの悩みも同時に解決していくという趣向なのかな……?

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