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2018.09.03

『つくもがみ貸します』 第六幕「碧瑠璃」

 おかしな成り行きで近江屋の若旦那と一緒に大川に転落した清次。その時に若旦那は印籠・焦香を落としてしまい、拾った破落戸から三十両を要求される。とても金を作れない若旦那に代わり、清次はかつて佐太郎がお紅に贈った櫛から大金を作った時と同じように、物々交換で金を作ろうとするのだが……

 朝早く目が覚めてしまい、そこらを散歩していた途中、大川の上の橋でふらふらしている人影を目撃した清次。すわ身投げかと慌てて駆け寄ってみれば、その人影は前々回登場した近江屋の若旦那であります。甘味屋のお花に懸想して、ようやくアタックに至ったはずが、この様子では玉砕した末に世を儚んで――と思いきや、若旦那はせっせとお花の店に通って団子を食べているうちに太ってしまったので、絶食ダイエット中とか……
 確かに清次が内心思うとおり残念な男前(まあ、清次も人のこと言えない)の若旦那ですが、てっきり身投げするのかと→まさかあ(ツッコミ)→勢い余って二人とも橋から転落という漫画のようなコンボを決めて、結局二人とも水も滴る何とやらに。朝からわけのわからないことをしている清次にお紅はおかんむりですが、若旦那は川に大事なものを落としたと青い顔であります。

 若旦那の大事なものといったらどう考えても前々回登場した印籠のつくもがみ・焦香ですが、つくもがみたちが気を利かせて話題に出すまで全く気付かなかった清次とお紅。結局焦香は見つからず、若旦那も行方不明の状況で甘味屋に行ってみれば、そこにやってきたのはこれも前々回登場した、尻に焦香がぶつかったのを若旦那のアプローチと勘違いした芸者さんであります。
 すっかり若旦那の女気取りでお花に噛みつく芸者に、お紅は自分の過去の経験を思い出してムカムカと嫌な気分に……

 前回の回想シーンで、佐太郎と母が帰った後に、お紅と清次の前に現れた娘。佐太郎の縁談相手であり、彼に値80両の蘇芳の香炉を贈った彼女は、佐太郎には自分のような人間が相応しいと上から目線でまくしたてたのであります。佐太郎への気持ちはともかく、さすがに頭に来たお紅は、だったら80両稼いでやろうじゃねえかと闘志を燃やすものの、佐太郎の櫛は見積もって10両。そこでお紅はどうするか――と思えば、佐太郎を恋敵視してる清次を頼ろうとするのですから鬼です。

 ……と、そんなことを思い出しながら町を歩く二人の目に飛び込んできたのは、焦香を手にした破落戸に返してくれと懇願する佐太郎。30両出せば考えてやるよ(返すとは言っていない)的なやりとりがあったものの、お花の店で団子に10両使ってしまった今の自分に、30両はとても用意できないと嘆く(そこは店からちょちょいと――いやいや)佐太郎を見て、またもやお紅は無責任に清次にすがるのでした――あの時みたいにやればいいじゃん、とか何とかいう感じで。

 そう、かつて櫛から80両作るとなった時、清次が取った手段は、わらしべ長者作戦。売っても貸しても足りないのだったら、品物をより高いものと交換していこうと、需要と供給のバランスを掴んで次々とアイテム交換をしていった結果――は今後のお楽しみとして、しかしこの手段には情報収集に時間がかかるという欠点があります。
 急がないといけないのに――とためらう清次に対して、同類を案じる出雲屋のつくもがみを使えばいいじゃない、と悪魔の知恵を出すお紅。そして清次の手腕とお紅の邪知により30両見事に集まった!

 これでどうだと甘味屋で30両を破落戸に突きつける清次ですが、すっとぼけて要求をつり上げようとする破落戸。しかし怒った焦香が破落戸の素肌に噛みついたために、破落戸は焦香を放り出して逃げていくのでした。いや、もっと早くやろうよ焦香――そもそも足があるんだから逃げればよかったものを。
 何はともあれ焦香は帰ってきて一件落着。どさくさでダウンした若旦那も、お花に案じてもらってご満悦、という残念ぶりを発揮してこのお話は終わりであります。


 今回もオリジナル――と思いきや、回想部分のみは原作の一部を使用、というちょっとイレギュラーなスタイルの今回。確かに原作はこの回想だけでほぼ一話使っていたので、この構成はなるほど面白いと感じますが、しかし上で述べたように、焦香が自分で逃げれば良かったのでは――という根本部分がひっかかるところであります。

 ちなみに作中で何回か、月夜見が弘法大師と印籠にまつわるありがたい話というのを語るのですが、これが史実にもギャグにも掠らないのが苦しい、というより視聴者を混乱させる原因となってるのは如何なものか……
(一応、聞いていると眠くなるほどつまらない話→佐太郎が意識を失ったのに清次がそれを引っかける、というオチなのだと思いますが)


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